オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ

【路上観察】溺れ児童たち

 川や湖、池や海など、水には危険がいっぱいである。今回は、子供たちが痛ましい水の事故に遭う事を防ぐために、自ら溺れてみせる事によって水の危険性を知らせている、看板上の溺れ児童衆を紹介したい。(なお本記事は、「オジギビト集会所」第6特別室を再構成したものである)

北海道地方

 まず一例目は、北海道札幌市(石狩川)の例。S氏からの提供である。

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北海道札幌市(石狩川)(S氏提供)

 男女二人の児童ペアが 体を張って、川で遊ぶ事の危険さを知らせている。足を滑らせて今まさに水面に接触しようとしている女の子が、実に良い犠牲者振りを見せつけている。一方の、必死に手を伸ばす少年の、困惑に満ちた表情……。周辺児童達には、彼等二人のような苦しみを味わう事がないように、くれぐれも注意してもらいたいものである。

 

 以下は小樽市小樽運河)の例。北海道支部長の報告である。

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北海道小樽市小樽運河)(北海道支部長 報告)

 怪物と化した水が少年を溺れさせようと、腕を絡ませている。恐らくこの少年は、為す統べなく水中に引きまれ てしまったことであろう。大変恐ろしいことである。

 水それ自体を恐ろしい怪物として表現する例は、他にも数多くあると思われる。また、河童など水棲妖怪が子供を襲う例も各地に存在している。それらについても今後、出会っていきたいものである。

 

 これは釧路市星が浦大通で確認された例。これも北海道支部長の報告。

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北海道釧路市星が浦大通(北海道支部長 報告/2015年5月)

 雨が降っていない時は近づいても良いのかなどというツッコミがありそうだが、鉄道の線路と同様、川にはなるべく近寄らないのに越したことは無い。それにもかかわらず川に近づき、水に飲み込まれようとしている少年。天然パーマ的な頭髪も、やがて水中に没すると思うとやや哀れである。

 

 これは釧路市貝塚(武佐川)の例である。

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北海道釧路市貝塚(武佐川)(2018年5月)

 一級河川・武佐川で溺れている少年と、傘を放り出しつつ駆けつける少年である。この看板の見所は、なかなか大変な状況にある溺れ児童はもちろんだが、やはり彼らの後ろに見える建物であろうか。この看板の位置から見えるマンションや、JRの線路に架かる歩道橋などが、ち ゃんと再現されているのである。つまりこの位置の、この方角に立てる看板のために用意された風景なのである。よく見ると、歩道橋の左脇にちゃんと「むさ」という、JR武佐駅を示す看板もあることが分かる。

 

近畿地方

 次は近畿地方の例である。これは滋賀県栗東市(葉山川支流)の例。

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滋賀県栗東市霊仙寺(葉山川支流)

 彼を見た時、「ああ、これはダメかも」と直感的に思っ た。這い上がろうとする暇も殆ど与えられずに、彼は水底に消えていったのではないか、という極めて不吉な想像である。大慌てしているようでもあるが、ほんの一瞬の戸惑いのようでもある表情が、そう思わせるのかもしれない。川に落ち、「あっ」と一声だけ発して沈んでいく少年……。実際の水難事故でそのような状況がどの程度起こっているのかは分からないが、個人的にはかなり怖い想像をさせる溺れ児童である。

 

 これは京都府宇治市の例である。川ではなく池にあった立入禁止看板である。

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京都府宇治市木幡

 彼は本当に、溺れている最中なのだろうか。自ら池に飛び込み、大いに面白がっているかのような表情にも見える。何だか、このバンザイポーズのまま、ぽーんと水から飛び出してきそうである。

 工事現場のオジギビト衆にも同様の例を見掛けることがあるが、なぜこの児童は、これほどまでに潰れているのだろうか。

 

 次は京都市伏見区の例である。

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京都府京都市伏見区向島渡シ場町(宇治川

 見た目からは何となく、あの全国的に活躍するオジギビトを生み出した、TEZUKA PRODUCTIONとの関係を感じさせる児童である(違う?)。帽子を振り飛ばして大暴れしつつ、水から逃れようとしているが、そのおかげで彼が、毛量も大変豊かなパーマ頭である事がよく分かる。

「水で遊ぶ時は十分注意しましょう」という事は、国交省はこの場での水遊び自体は禁止していないわけか……。

 

 これは京都府向日市(小畑川)の例である。

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京都府向日市上植野町(小畑川)

 わりと懐かしい感じのする溺れ児童である。特にトゲトゲの、いまいちまとまりの無い髪型がイカす。退色の激しいものと新しいものが混在しているところからすると、彼はかなり長きにわたって溺れ続けている事が窺える。

 

 これも京都府京都市左京区の例である。

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京都府京都市左京区一乗寺(辻児童公園)

 両方とも、同じ場所で確認された溺れ児童である。どちらも同じ子供のようであるが、下の帽子を被った方が、目の下の表現からして多少慌て度が高そうである。 帽子を被っていた時に一度溺れかけたが何とか助かり、 後日また溺れそうになっているのが上のものなのかもしれない。そう思って見ると、「あっ!またやっちゃった!」 という感じの顔に見えなくもない。

 

 これも京都市左京区の例であるが、トンネル状の水路に入って遊ばないように警告するものである。

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京都府京都市左京区静市市原町(2015年5月)

 川に接続する地下水路の出口で溺れている児童である。 2015年7月中旬に西日本を縦断した台風11号による豪雨はかなりのものだったが、この出口も完全に水面下に没していた。平時ならば安全と思っていても、思わぬタイミングで大量の水が流れてくる場合もあり得るので、くれぐれも注意したい。

 

 これは兵庫県神戸市の例である。

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兵庫県神戸市東灘区住吉東町

 多少のっぺり目の顔の少年が、川の中で必死にもがいている。彼の場合、どうも下半身のもがき具合が実に物凄いことになっている模様である。

 

中国地方

 次は中国地方、鳥取県の例である。以下は鳥取市(旧袋川)の例。

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鳥取県鳥取市(旧袋川)

 水しぶきばかりではなく、大粒の汗と涙を振りばして大慌てしている様子の溺れ児童である。彼の身長では川底に足がつかないらしく、それが余計に恐怖を煽っている模様。「誰か早く助けてやれよ」と思ってしまう、なかなかの溺れっぷりである。

 

 次は倉吉市(天神川)で見掛けた例である。

 

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鳥取県倉吉市(天神川)

 彼もまた、大粒の涙を数珠繋ぎにこぼしつつ、水からの脱出を図っている。帽子がかなり後方に飛ばされているところからすると、比較的高速で流されているか、あるいは強風が吹きつけているかのいずれかであろう。粘度の高そうな水にまとわりつかれ、非常に危うい状況であるが、この場で慌てふためき、泣き続ける事こそが、彼に課せられた重要な役目なのである。

 

 最後の倉吉市の例で述べたとおり、彼ら溺れ児童の役割は、自らの溺れる姿を皆に晒すこと……。実に苦しい役目である。彼らには最大限の敬意と賞賛を送りたいものである。