送電線や変電施設など、電気関係の施設には、一般人(特に子供)を思わぬ事故から守るために、警告を発する人々が常駐している。電力会社所属の警告衆(犠牲者が多い様子)、電気保安協会所属の警告衆に大きく分ける事ができる。北海道や東北、四国など各地方の保安協会と電力会社が、専属の警告衆を有している。(なお本記事は、「オジギビト集会所」第4特別室を再構成したものである)
電気保安協会警告衆
彼は建物と建物の狭い隙間で見得を切っていた。服は退色した結果こういう柄になったのかと思ったが、どうやら最初からこういうものらしい。
やや腕が下がりぎみで頼りないベンケイ型である。首から下の感じ(特に足の開き方)が、半分に折った紙を人の形に切って開いたような印象を与える。
何らかの事故(恐らく感電)によって苦痛を受けている最中の少年犠牲者である。
電力会社警告衆
北海道電力
釧路市立武佐小学校付近で発見された、未来的(?)コスチュームの警告人である。電力会社所属である事を声高に主張している(と思われる)アンテナの伸びっぷりが見事である。
北電の警告坊やが、鉄塔に登らないように訴えている。彼はジャンプ(空を飛んでいる?)している最中であるが、塔に登った人への警告方法のデモであろうか。
小樽市内で立て続けに発見された、北電の警告呼びかけ衆たちである。現在、北電のサイトのトップページで見られるのは一番下の緑色の人(北海道の形を模している?)であるが、現場では他の人々も活動中というわけである。
現在の北電の代表キャラ(緑色の人)や上の未来的コスチュームの児童、保護帽を被った一般的作業者はまあ理解できるのだが、色内変電所の人は何の擬人化なのだろうか。
北陸電力
稲荷公園の道路脇に立つ送電用鉄塔で、ベンケイポーズを取る北陸電力の人である。顔の造形、姿勢の微妙な捻り具合が、何となく杉浦茂氏のマンガのキャラクター達を思い出させる。どちらかの手の中指と薬指を曲げた状態で、頭の傍に持ってきた姿でも、さほど違和感はなさそうである。
改めて見るとこの人、上着の下に着ているシャツが意外と派手だった事に少々驚いた(撮影当時は夕暮れだったので)。
中部電力
田宮模型本社のすぐ近くの鉄塔で、謎の生物が、柵内へ進入しないよう呼びかけていた。個人的にはサンリオの某キャラクターを思い出させる姿形だが、本当に関連があるかどうかは不明である。ベルトのように見える部分は、ローマ字表記の彼の名前である。「おはようくん」と言うらしい。……とすると彼は太陽(朝日)?
関西電力
基本的・模範的なベンケイ型のかんでん警告人である。前髪の盛り上がり方から察するに、帽子の下には豊かな黒髪が隠れていそうである。
より図形的なベンケイ型かんでん警告人である。同じベンケイ型でも、厳しい表情で掌をこちらに向けているこのタイプの方が、「警告」という感じがする。この人は保護帽のマークを換えるだけで、すぐに現場オジギビトとして働けそうである。
配電パネル上でいたずら操作をしないようにお願いしている人との事。上の二人より、何となく歴史のありそうな外見である。身体が何というか、昆虫的というか蟻のような感じなのが、個人的には余計にそう思わせる。
彼の髪形に関して、「黒髪に鉢巻」なのか「白髪に黒帽子」なのか、かぶ氏は疑問を呈していたが、本部長の印象ではどちらかというと後者である。「クレヨンしんちゃん」のひまわりのような、カールした前髪なのではなかろうか(例えが分かりにくい?)。
関西電力淀変電所で、施設内に立ち入らないようにお願いしている人である。関電でこのようなヒーロー的(?)コスチュームの人も活躍していたとは知らなかった。北海道電力や中国電力にも似たような人々がいるが、彼はこの中でも(服装面において)、わりと「ゆるい」雰囲気があるような無いような。下半身が特に涼しそうである。
中国電力
送電線の近くでタコ揚げをする事がいかに危険か、感電中の人物が身をもって示している。彼は少年であると思われるが、今一つ年齢不詳の感がある(最初に見た時は、中年の釣り人かと思った)。
送電線関連では、鉄塔に登らないように呼びかける犠牲者もいる。少年と鉄塔の大きさの対比はともかく、彼は転落して痛い目に遭ったのではなく、感電したらしい。鉄塔自体に電気がどれくらい漏出しているかは分からないが、電線に触れて感電したとすれば、彼は塔のてっぺんまで登ったということになる。何という勇気であろうか。
中国電力専属の注意喚起キャラクターらしい。被り物の「E」は、中国電力の別称というか通称、「エネルギア」の頭文字と思われる。
中国電力の人は、どうやら空が飛べるらしい。背中の羽は伊達ではない、というわけか。でんきの柱=電柱に登っている少年と、外見の統一が取れていないのが何とも微笑ましい限りである(この写真では分かりにくいが)。
中国電力の飛行児童が、変電所施設の出入り口で模範的な直立不動姿勢を取っている。この体形でも、ちゃんと軽い前傾オジギ姿勢を取っているように見えるのはさすがというか、デザイナーの方の手腕であろう。
彼も中国電力のキャラクターらしいが、上の空を飛べる人より古いようである。帽子のマークは何を示しているかは不明だが、少なくとも現在(04年)の中国電力のものとは異なる。
巨大な手が児童を制止しているという、工事現場オジギビトでも時々見かけられる形である。ぱっと見ではこの少年、目の前に現れた巨大掌に驚きつつも喜んでいるように見えなくもないが……。
沖縄電力
久茂地川を横断する送電線の前で進入禁止を示す、ベンケイスタイルの動物である。保護帽には沖縄電力のマークではなく緑十字が描かれている。このことからして、元々工事現場向けの労働動物が、電力会社にそのまま転用されたような印象を与える。
鉄道関連の人々
小田急電鉄の送電施設に侵入しようとした少年が、何らかの理由で困ったような驚いたような、味のあるいい顔をしている。目の前に閃いた山吹色の尖った電光に驚いたのであろうか。恐らく彼はこの後、左膝以外にも絆創膏を貼る所を増やした事だろう。
阪急電車桂駅の電気施設(管理運営は株式会社 阪急阪神電気システムとの事)で、赤ギザギザの「あぶない」を指し示す人である。ぜひ、工事現場の方にも出張してきてもらいたいものだが、施設の立入禁止を示す役目だけなのであろうか。もしそうならば、阪急電車の方々には是非、鉄道工事現場への彼の出動をお願いしたいものである。
指し示しのポーズが、何となくクラーク博士的である(左右逆だが)。
埋設警告衆
地下に電線や電話線などが埋まっている事を、工事現場の方々に予め知らせる役目の警告もよく見かけられる。電力会社(電線)とNTT(電話線)の2つにグループ分けが可能である。
NTTでは違う地域でも同じ重機と電話が採用されている事からすると、全国で共通(の要素を持つ)デザインの看板が使われている場合があると思われる。差異は地域的なものではなく時間的な隔たりによって生じるのかもしれない。