オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ

【海外オジギビト】中国と韓国の現場で活躍していた人々

 先日は、2006年の台湾・台北市で活躍していた工事現場オジギ衆を紹介した。

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 今回は大陸の方、すなわち中華人民共和国大韓民国の工事現場で活躍していた人々を紹介したい。(なお、全ての写真は「いただきもの」である。集会所も本部長室も、皆様のご協力で成り立っているのである)

中国・香港の人々

 H.K.氏から、香港の現場(上下水道関連らしい)にいた人の写真をいただいた。とり氏の「街角のオジギビト」にも紹介されている人だが、ポーズは同一ながら服装がやや重厚なものになっている。保護帽とジャケットには、水務署のマークがしっかり入っている。

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香港の人(2012年12月/H.K.氏提供)

 彼のこのポーズにはどのような意味が込められているのであろうか。現地の方々には普通のものなのであろうか。見た感じ、「ご迷惑をおかけしております、どうもすみません」という拝むようなポーズと、「入ってはいけません」という制止のポーズの複合型のように思えるが……。

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香港の人(2010年3月/H.K.氏提供)

 2010年に別の現場で確認された彼は、何か様子が違うと思ったら、目にハイライト(白い点)が入っている。ジャケットなども、ディテールが異なる。基本的な姿勢は同じだが、もしかすると結構な数のバリエーションが、彼には存在するのかもしれない。どうやらこちらの方が、「街角のオジギビト」で紹介された彼に近いようである。

 

 これは不審者侵入に関する警告らしい。泥棒としては大変分かりやすくもクラシカルな覆面をした男が、足場(竹を組んで作られているようである)を使って、隣のビルの窓へ侵入しようとしている様子である。

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香港の泥棒(2012年12月/H.K.氏提供)

 日本にも現場に侵入する不審者を警戒している旨の警告はあるのだが、大抵は「カメラを設置して見ているぞ!」という感じの文章のみで、やや味気ないのが残念である。香港のこの人のような愉快な(?)盗人が、注意喚起の目的で日本の現場にも現れてもいいのではないか……とちょっと思わなくもないのだが、現場としてはこういう人が出る状況自体が、忌むべき事であるというのも、まあ頷ける話ではある。
(だから日本では敢えて味気ない文章で示されているのかもしれない)

 

中国・南京の人

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南京市の人(2019年12月/四国支部長報告)

 日本国内の現場オジギ衆とは明らかに一線を画する、中華人民的現場警告人である。メリハリの効いた陰影の付け方が素晴らしい。それと対象的に極めてシンプルな鼻の表現はどうしたことか?とちょっと思ってしまうが、それもまた彼の個性、魅力と言えよう。
 この人のサイズ、最初に見た時はなぜか勝手に超巨大(数メートル大)なものと思っていたのだが、よく見ると雑草が写真に写り込んでおり、日本や台湾のものと同じくらいの、普通サイズであることが判明した。
 ちなみに撮影時期から察せられる通り、COVID-19の問題が表面化する直前という、絶妙なタイミングでの撮影ということになる。

 

韓国の人々

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大韓民国・慶州氏の人(2006年9月/M.K.氏提供)

 台湾の人々が「漫画調」とすれば、韓国の人はより「アニメ調」と言えるかもしれない。日本にも近い人々はいるかもしれないが、この人は割と容易に、韓国現場衆である事を識別できそうな雰囲気を持っているように思われる。

 なお、JPEG圧縮のノイズがキツいのは、こう言っては何だが、撮影したお方がその辺無頓着……というか知識が乏しかったせいである(他の写真も同様にノイズバリバリ)。氏に代わってお詫びしたい。

 

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大韓民国仁川広域市の人(2006年10月/M.K.氏提供)

 やはりこの人も、日本や台湾の人々と明らかに違う雰囲気がある。なお、一番上の赤い文字は「工事中」、下の文章は「ご通行に迷惑をかけ、申し訳ありません」という意味だそうである。ちなみにこの人が、韓国では最もメジャーな人のようである。

 

 せっかくの機会なので、M.K.氏からいただいた、他の韓国工事現場看板の写真も、ここで出しておきたい。全て2007年5月の撮影で、場所は仁川だったと記憶している。

 一番上の人は、見得切り型と言っても良いだろう。よく見ると指が四本だが、こういう省略的なことは、1975年のアニメ「元祖天才バカボン」とかでも見られたことである。

 二番目の人は、以前紹介した「文字に隠れて」の形である。ちょっと人物が薄すぎないか……と思ってしまうが。

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韓国の現場看板(2007年5月/M.K.氏提供)

 こうしてみると、韓国の現場もなかなか賑やかである。

 ところでベトナムホーチミン市でも、この韓国の人が活躍していたことが分かっている。

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ベトナムホーチミン市に出張中の彼(2014年3月/H.E.氏提供)

 いずれも内輪型(服装タイプと、安全帯タイプか)に分類できるだろう。

 

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ベトナムホーチミン市の現場で、韓国からの人の隣にいた人々

 これは同じ現場にあった看板とのことである。保護帽があるおかげで安全が保たれ、作業員も妻子も安心……という感じのものである。この人々はちょっと感じが違うが、もしかするとベトナムローカルな人々の可能性も無くはないだろう。