オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ

【オジギビト】立体発光オジギビト

 オジギビトは伝統的に、二次元の人である。しかし近年、三次元すなわち立体化した姿で現場に立つ人が出てきたことは、ご存じの方もおられるだろう。しかも夜間には発光し、現場を明るく照らす役割も担っているのである。

 下の写真は、2006年9月に、島根県松江市で確認された、立体発光オジギビトである。

島根県松江市嫁島町の立体発光オジギビト(2006年9月/M集会所運営委員報告)

どうやら彼は、電灯が仕込まれた風船のようである。彼の仕草はオジギというよりは、手を洗っているように見える(あるいは何かを持っているか)。異様な足の短さも気になるところだが、カワイイので問題無し(?)である。支柱には「ライトボーイ」と書かれていたとのことで、彼はその名の通り現場の照明と、通行人への陳謝の二つの役割を果たしている。実際、現場は非常に明るく照らし出されていたとのことである
 ちなみに彼の右側には、板を人の形に切って塗装した、従来型のいわゆる「レプリカント」もいた模様。しかし彼に薄ぼんやりと照らされるのみで、その存在感は極めて希薄である。

 

 2007年12月8日付の日本経済新聞「暮らしサプライズ」という記事の中で、この立体発光オジギビトが紹介された。東京都新宿区の現場を照らす彼が、かなり大きなカラー写真(ページの1/5-6位?)で紹介されていたのだが、これはオジギビト衆の中では稀に見る破格の扱いではなかろうか。作業員の方々との対比では、彼の身長(頭から爪先まで)は80-90センチほどと推定できる(本部長はこの時点で、自分の目では確認していなかった)。
 道路建設を主な事業内容とする「大成ロテック」東京営業所の方のコメントが添えられていたところからすると、どうやら彼は日本最初のオジギビトと言われる大成建設の「安全坊や」と非常に近縁……というよりは安全坊や立体発光版らしい。さすが本家という他ない。安全坊やについては、先日紹介したのでそちらを参照されたい。

ojigibito.hatenablog.com

 07年11-12月に米子市鳥取県西部)、08年5〜6月に鳥取市鳥取県東部)で、複数の方々から彼の目撃報告がされていたのだが、本部長はさまざまな理由で彼に会う事ができずにいた。

 しかしとうとう、2008年11月25日午前10時頃、釧路市内で彼の活躍振りをじかに見る事ができた。

北海道釧路市新橋大通4のライトボーイ(2008年11月)

 大同工業株式会社の道路工事現場で、彼は普通のオジギビトではまずあり得ないほどの高い所でオジギしていた。地上から彼の足もとまでは、5〜6メートル程度だろうか。
 非常に慌ただしい条件での出会いだったが、とにかく彼との出会いを果たすことができ、実に感慨無量であった。次回はもう少し落ち着いた条件で会いたいものである。できれば、鳥取市内で同じ現場に出現したという立体発光労働動物(パンダらしい)も一緒のところを。

 下の写真は、09年2月下旬に提供されたものである。

千葉県千葉市美浜区真砂・千葉西警察署付近のライトボーイ(2009年2月/H.T.氏提供)

 保護帽の緑十字が、日本道路株式会社のマークに置き換えられている。この発見により、彼が大成ロテック系列以外の企業の現場でも、各々の会社の「専属」として働いている事がより確実となった。

 そしてやがて、当然の成り行きと言うべきか、立体発光オジギビト界にも新人が登場するわけである。

京都府京都市西京区大枝沓掛町・京都市立芸大付近の立体オジギビト(2012年12月/S.S.氏提供)

 12年末頃に、京都市立芸大付近に出現した、女性と思しき立体オジギビトである。昨今のゆるキャラ(特に女の子)にも共通するような、大変可愛らしい人である。
 この現場がどこの企業のものだったのかは不明であり、本部長も直接見に行こうと思いつつ遂に果たせなかったのは大変残念であるが、道路工事の現場であったことはどうやら確かのようである。

 ところで、この立体発光オジギビトが、逆に「二次元化」したのでは?と思われる例もある。

兵庫県神戸市東灘区田中町の平面化ライトボーイ(2008年10月)

 トラックの荷台の上でオジギする彼を一目見て「もしやあのライトボーイか?」と即座に思った。服装は違うが、二頭身、シンプルな顔、手の仕草、そして特徴的な足と、同一と言ってしまっても問題ないほどである。これは全くの偶然なのであろうか。

 

 下の写真は、労働動物にカテゴライズされる、立体発光カタツムリである。

千葉県柏市の立体発光カタツムリ(2010年2月/H.T.氏提供)

 工事の状況、施工者などは不明である。「お立ち台」部分がオジギビトと恐らく共通と見られるので、この発光生物も大成系列の「由緒正しい」現場警告衆の一員かもしれない。
 仲間としては、以前パンダの目撃例が寄せられていたが、残念ながら実際に確認できていない。まあ、いずれそのうち、出会うこともあるだろう。

「お立ち台」部分だけが夜間の照明として使用されている例も、幾つかの現場で確認されている。もしかして、「お立ち台だけ」の方が需要があるのだろうか。まあ余裕があれば(?)、その上にライトボーイやガール、または動物たちを載せてあげてほしいものである。