オジギビトが正面を向いてオジギをしている場合、オジギ角度が深いと、目が保護帽の陰に隠れることがある。そのような状態では、オジギビトが何を思ってオジギしているのかは、他の顔パーツ(ほぼ口に限定されるが)で推測するしかない。今回はそうした「メカクレオジギビト」の一例を紹介してみたい。
口の描く曲線が、ちょっと複雑な内面を表していると言えるかもしれない(?)、直立不動オジギビトである。微笑んでいるようでもあり、何か言いたげでもあり……。この場でこうしてオジギする事に関して、彼自身何か思うところがあるのだろうか?と思わせる、微妙な口の曲線である。
緑の保護帽に大きく「和」(かのう)の白い一文字が書いてあるのが、印象的である。
高知市の人よりもちょっと細い感じのする、色違いの人である。トイレ掃除の時によく見掛ける「清掃中」のポータブル看板の上に、貼り付けられている(彼の背後に、モップ的なものが透けて見える)。
JRだからというわけではないだろうが、帯広駅の彼も、カラーリングは大体共通である。しかし保護帽には、札建工業のマークが入っている。
積水ハウスの現場にいた彼は、横幅が伸びていた。姫路駅の人と同じ感じの、緑十字が保護帽に付いている。恐らく彼も「素材集出身」の人ではないかと思われるが、保護帽の緑十字は最初からのものだろう。札建工業や和建設では独自に、緑十字を差し替えているものと思われる。(和建設の場合、保護帽のカラーリングとディテール追加もなされている)
これまで紹介した彼は、薄笑いの中に何か別の感情を隠したような、微妙な口の曲線であった。しかし、ゼロホームの現場の彼は、かなり違う印象である。
口の描くカーブが、明らかに上向きである。マンガの記号論的には、これは不機嫌な時や、怒っている時の表現である。しかしオジギビトの場合、こういう口の感じでも別に機嫌が悪いことを示しているのではない。「安全に工事します!」という固い決意の表れであろう。
これまで紹介した写真の彼は、恐らく共通の素材からのものである。しかし、鳥取県倉吉市にいた彼は、ちょっと違う感じであった。
「倉吉未来中心」の現場にいた彼は、どうやらこれまで紹介した彼の「簡略版」のようである。左腕の腕章がなく、肩のラインもない。ズボンと靴の輪郭も一直線に繋がっている。この簡略化の際に、口のラインが下向きのシンプルなカーブ、すなわち完全な「笑い」の方に変わったのだろう。(一方で保護帽には、独自のディテールが加えられていたりする)
なお、写真がやや小さいのは、何故か元の写真が見つからないためである。何とぞご了承いただきたい。
このメカクレオジギビトの、保護帽を被っていない姿ではないかと思われる人も、実はいたりする。「他人のそら似」の可能性もあるが、ここで併せて紹介しておきたい。
保護帽を取ったらこんな髪型だった……と思われるのが、この人である。髪の七三分けが目を惹く。
胸ポケットや襟周りなどは多少異なるが、オジギ姿勢や腕章、肩の二本線など、服装には共通した特徴が幾つか見られる。顔の輪郭は、この人の方が明らかに尖った感じである。左腕で保護帽を抱えているが、やはり保護帽のサイズは、彼が被るにはちょっと無理そうな感じである。