オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ

【レトロPC】シャープMZ-700発売40周年

 本日2022年11月15日は、シャープのパーソナルコンピュータ「MZ-700」が発売されて40周年の日である。おめでとうございます
 というわけで折角なので(?)、我がMZ-700(MZ-731、PCG付き)をこの機会に紹介しておきたい。

シャープの「クリーンコンピュータ」MZ-731(電源オン直後)

 当時のブラウン管モニタも、ご覧の通り未だ現役である。但しゴム足はとっくの昔に溶解してしまい、代わりに100円ショップで買った別の足を貼り付けている。
 本体真ん中のプロッタプリンタは、機能自体は正常なようだが、ペンや紙といった消耗品がもはや供給されないので、残念ながら実質「そこに収まっているだけ」の状態である。
 右側のデータレコーダも、ちゃんと生きている。ローラーなど各部が溶けてしまっているかと思ったのだが、案外タフだった。カセットテープの方も、一時期など結構過酷な環境に置かれていたように思えるのだが、実は想像以上にタフなメディアであったことに多少驚いている。(ちなみにBASICなど大切なアプリは、無事なうちにしっかりバックアップもしておいた)
 MZ-700本体とモニタの間にある白い長方形の物体が、PCG(Programmable Character Generator, ハル研究所PCG-700)である。

パックマン」(電波新聞社)を動かしている様子

 ナムコの「パックマン」は、MZ-700にも電波新聞社によって移植された(もちろん、バッタモンもたくさんある)。PCGにも対応しており、ご覧の通り結構良い感じの絵になっている。もちろんPCG無しバージョンでも、ゲーム性は損なわれていない。
 しかし同じく電波新聞社によって移植されたナムコの「マッピー」は、なかなかの衝撃であった。PCG無しバージョンの方が特に……。興味のある方は、YouTubeにも上がっているので、是非見ていただきたい。あるいはシンプルに、「MZ-700 マッピー」で検索してみるのも良いだろう。いずれにしても、何が「衝撃」なのか、即座に見て取れるので。(よくこれを発売したというか、移植する気になったなぁ……という声も、当時から既にあった気がする)

 ついでと言っては何だが、MZ-700関連の図書の写真を。背景の畳が汚く見えるのは、恐らく皆様の気のせいである。

MZ-700オーナーズマニュアル

 今見ても、なかなかカッコいい表紙のマニュアルである。BASICのコマンドの説明や回路図など、とにかく情報が詰まっている。BASICのバックアップ(コピー)の方法も載っている。
 ただ、表紙のエンボス加工のキーボードが、MZ-700のものではないというのが残念である。(MZ-2000のものに近いだろうか)

ADVANCED MZ-700(Oh!MZ別冊)

 このOh!MZ別冊、さすがに「ハイテク活用術」と言うだけあって、かなり高度なあれこれが詰まった本である。当時は読んでも殆ど何が何やら……であった(特にハードウェア関連)。今なら少しは?と思ったりもしたが、やはり全然ダメ。しかし、読むとやはり「楽しい」本である。

色々役に立った本たち

 これらの本は、MZ-700というマシンを知る上で、非常に役立った本である。まあBASICが主体なのだが、それでもなかなか高度なあれこれが詰まっていたように思う。特に「パソコン活用入門」は、愛読書と言っても良い一冊である(ちなみに表紙の中に、1983年の映画「ウォー・ゲームの一場面らしきものが……)。
 ちなみにMZユーザーの間ではちょっとばかり知られた話だが、「MZ-700ジョイフルパック」では、あの「高橋名人」が有限会社ハドソン(当時)の社員として、PCについて真面目に語っていたりする。

これも良い書物

 この「MZ-700ゲーム・ライブラリー」も、たまに読みたくなる本である。

 80年代は、様々な国産PCが登場しては消えていく、混沌とした時代であった。8ビット機に関しては、次第にNEC PC-8801mkIIシャープX1、そして富士通FM-7の「御三家」へと収斂していったことは、多くの人が知るところである。
 MZシリーズは、シャープの主力がX1シリーズとなった時点で実質的に役目を終え、シリーズの終焉を迎えたわけだが、その後のMZ-700の展開には、なかなか凄まじいものがあったことは、ここに記しておきたい。詳しくは、以下のサイトを参照して戴ければと思う。

bgm.sub.jp

 ちなみにWikipediaにも、その辺りの展開が説明されていたりする。また、「ホビーパソコン興亡史」(前田尋之 著・2014)でも言及されている。

 このMZ-700、当時はグラフィックが使えないとかサウンドが単音だとか、そういう「表層的」な部分ばかりを見られて、蔑むような態度すら取られていたようにも思う。パソコン雑誌でも、(Oh!MZはまあ別として)時折その辺りを馬鹿にする発言が見られたりしたものである。
 しかしその後、MZ-700は、他のMZマシンとは一線を画すると言っても良いような、愛され方をされるようになったわけである。大変良いことである。
 自分も末永く大切にしたいと思っているのだが、様々な部分が劣化していくことは避けられないので、悩ましいところである。あの有名なエミュレータ(「MZ-700友の会」参照)がもっと気軽に使えたらと思うのだが(要するに色々敷居が高い部分があったりと、なかなか大変)。
 シャープが公式にMZとかX1 の完璧完全なエミュを出せば良いのに……とほんの少し思ったりもするが、まあ採算とか権利問題、そして当時の記録などの面で、極めて難しいのだろう。商売にならなければ、出すわけもなし。

[rakuten:surugaya-a-too:211699222:detail]