先の「テレビ番組で声を付けられた人」の記事でも触れたが、「この人はあの人の偽者なのでは?」と思われる人々が、オジギビト界には存在する。つまり、あるオジギビトを真似て(お手本にして)、生み出された人々である。偽者というよりは、クローンと表現すべきだろうか。
今回は、「クローンかもしれない人々」を、紹介してみたい。最初は「テレビ番組で声を付けられた人」の場合である。
この人は少なくとも20年以上に渡り、全国的に活躍している有名人である。大変お馴染みの顔ということもあるのか、このような掲示にも素材として使われる場合もある。
恐らくこの掲示の彼は、大林組の人によって、写真から切り抜かれて貼り付けられたものと思われる。彼自身にはクローン的改変はされていないので、取り敢えず「本物」ということになるだろうか(デジタル感が加わっているが……)。
彼のクローンと思われる人は、2010年に京都市内で発見された(下の写真)。
何というか、ハニワ的な雰囲気が漂う顔つきになっているが、全体の感じは彼にそっくりである。最も変化しているのは輪郭線である。この変化の仕方は、「コピー機でコピーした絵をさらにコピーして……」という作業を、何十回も繰り返したかのような感じにも見える。あるいはもしかすると、この強弱が激しい輪郭線は、完全に意図的なものなのだろうか?
クローン化の際になぜか、口の左端が上がり、右端は逆に下がるという変化をしているのは見逃せない点である。結果として、何か意味あり気な薄笑いを浮かべているような表情となっており、オリジナルの「純粋にこやか笑顔」とは明らかに一線を画するものである。このへんは、クローン化(?)の際に注入された「オリジナリティ」とでも言うべき部分かもしれない。
次に紹介するのは、とり・みき氏の著作でも取り上げられた有名人の例である。
この人は、とり氏の「街角のオジギビト」では、「無表情」というタイトルで紹介されている(P82-83)。同じくとり氏のマンガ「愛のさかあがり」でも紹介されている人で、この本の初出を考えると、少なくとも1980年代後半辺りから現在に至るまで、活躍し続けている超ベテランの一人である。
この人のクローンなのでは?と思われる人が、この人である。
無表情(ちょっと薄笑い?)の彼と比較すると、幾らか愛想の良さそうな表情を浮かべている。身体の輪郭線の一致度からして、無表情な彼が元になっている可能性は高い。既に80年代から活躍し続けている彼の後を継ぐため、偽者ではなく正式な「二代目」としてデビューした可能性もある。実際、現場で出会う率は、先代(?)よりもこの人の方が、幾分高くなっているような気がする。
他に分かりやすいクローン的な人はいないだろうかと写真を眺めていたら、先の「耳が取っ手の人」にも、どうやらそうなのでは?という人が見つかった。
輪郭線の均一的な感じが、何となく「元絵をマジックでなぞった」感がある。紙や安全靴など、ディテールが潰れ気味なのも、その印象を強めている。鼻が丸形の団子っ鼻ではなくなっているのは、オリジナリティを出した所と言えるだろうか。
クローン疑惑がある人々は、あの有名人「縦長瞳の男」にも幾つか確認されている。それらの例については、また後日紹介してみたい。