ようやく、少しばかり暖かくなってきたようである。恐らく2月22日を境にして、朝の冷え込みも次第に緩んでいくことだろう。
さて今回は、旧集会所でも紹介していた、関東支部長から報告された三瓶ダム(島根県大田市三瓶町)の看板を、改めて紹介してみたい。
まずは堤体の上からの釣りの危険を警告している看板である。
ダム湖での魚釣り自体は禁止されていないようだが、堤体上からは危険なのでやめておけ、ということのようである。落ちそうになって慌てている釣り人の服を、和服の少女が引っ張って支えている。
そしてこれは、ダム湖周辺で守るべきエチケットと注意喚起である。
この少女は誰だろう?と思いつつ、この地方の民話や神話などを軽く当たってみたところ、どうやら三瓶山にゆかりのある「乙子狭姫」(おとごさひめ)ではないかという推測に至った。Wikipediaの「あらすじ」一行目の、「太古の昔、赤雁に乗って穀物の種を伝えた狭姫という女神がいた」という記載からすると、どうやらこの少女こそ、乙子狭姫ではないかと……。看板の左上に、その赤雁らしき鳥と、上に乗って「アブナイ」と叫ぶ狭姫が見える。
ダム湖の名前が「さひめ湖」ということからしても、これらの看板の少女は、乙子狭姫のようである。自分の名前が付いたダム湖なので、ここでは最低限これだけは守ってね、という感じであろうか。
保護帽を被って、ベンケイポーズで「キケン」と叫ぶ狭姫様もおられた。
この三瓶ダムのすぐ近所には、中国地方で大山と並ぶ超メジャーな火山である、三瓶山がある。三瓶山も古くは「佐比売山(さひめやま)」と呼ばれていたとのことで、乙子狭姫との関係が深い山ということである。
これら三瓶ダムの看板の写真は、既に20年近くも前に撮影されたものであり、当時既に多少痛みが進んでいたものもある。既に今現在は看板の代替わりなどして、狭姫様の活躍は既に見られないのかも……と危惧してしまう。今も三瓶ダムと周辺のレジャー施設などのために、現役であることを望むばかりである。
ところで三瓶山と言えば、本部長も一時期、三瓶山関係であれこれしていたことがある。
三瓶火山から噴出した浮布テフラと阪手テフラの関係の検討
水月湖コア試料に含まれるテフラ層の対比から推定される三瓶火山噴出物の化学的変動
中国地方のもう一つの超メジャー火山、大山の方もあれこれしていたのだが、大山メインで一筆書くのは控えておいた。その理由を具体的に明かすのは控えるが、一言言うならば「縄張り意識というのは甚だ面倒なものだ」ということになるだろうか。まあそれで何となく察していただきたいものである。