オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ。本ブログではアフィリエイト広告が掲載されています。

【路上観察】自転車に乗る時は気をつけて

 本日4月1日より、自転車に乗る全ての人に、ヘルメット着用が努力義務」ということになった。
 というわけで今回は保護帽に関する看板など……ではなく、これまで出会った自転車絡みの看板や掲示を、幾つか紹介してみたい。

 自転車関係では、やはり「飛び出し注意」「歩行者注意」などの、交通安全に関するものが主流だろう。下の掲示は、典型的なものの一つである。

京都府京都市左京区岩倉の自転車運転者(2010年8月)

 ちょっと懐かしいマンガ的な感じの男が、不注意に(多分何の考えも無しに)T字路へと進入し、何らかの危機的状況に遭う直前の場面だろうか。オレンジ色のギザギザ放射が、これから起こる状況の重大さを暗示しているかのようである。
 ところで朝のワイドショーか何かで、芸能人ではない一般の人が、T字路を「丁字路(ていじろ)」と言ったことに対して、その番組に出ていた芸人やら何やらが、その人のことを無知だバカだ変わっているなどという感じで嘲笑したということが、かつてあったと記憶している。もちろんその者達は、直後にネット上でかなりの批判を浴びたわけだが……。まあ今は丁よりTの方がメジャーな表現になっているのは確かではあるが、嘲笑した者達はまことに残念ながら「もの知らず」だったと言わざるを得ない。単に「ティー」を「テイ」と発音したということを揶揄していたとしても、やはり残念な連中という印象は否めない。
 ちなみに田河水泡氏のマンガ「のらくろ」では、士官学校での試験問題で、この「丁字路」を答えさせるものがあったりする。本作品の時代から考えても、確かに現在では既に多少クラシックな表現にはなっているようだが……。

 次の看板は、正式に売り物になっている看板で、わりとメジャーかもしれないものである。

東京都大田区蒲田の飛び出し自転車少年(2015年12月)

 何をそんなに急いでいるのか、という感じだが、実際子どもというのは何故か、異常なほど必死に自転車を漕いで走り回ることがあったりするものである。
 彼の全体の雰囲気や看板の作りなどは、現場オジギビトとの浅からぬ繋がりを感じさせる。

 そしてこれは、歩行者に注意せよというものである。

東京都大田区蒲田の自転車少年と危機的老婆(2015年12月)

 赤シャツの少年が、歩行中の老婆へと、まさに突っ込もうとしている瞬間である。両者ともに、「アブナイ!」と目をつぶっている。少年の足は、何とか足の裏を設置させて止まろうとしているかのようである。
 この後どうなったかは想像するしかないが、この自転車少年、老婆の右側ギリギリの所を掠めて、さっと走り去るような気がする(老婆に一切謝りもせずに……)。

 自転車の危険運転に関係するものもあるが、最近はやはりスマホ絡みというのが主流なのだろうか。

京都府京都市北区上賀茂山本町の自転車スマホ少女(2015年8月)

 スマホを見ながら自転車に乗る少女が、まさにベビーカーに突っ込もうとしている瞬間である。大変危険な状況である。実際、こういう危険行為をしながら自転車漕いでいる坊ちゃん嬢ちゃんは、驚くほど多い。一度や二度、通行人に激突したくらいでは、身にしみて危険性を知ることは無い様子でもある。つまり全然反省はしないし、悪いとも全く思わない模様。とすると、それを心の奥底から体得させるには……まあ言わぬが花であろう。

 そしてこれは、見るからに駄目な奴の例。

東京都大田区蒲田の傘さしスマホ自転車男(2015年12月)

 スマホ操作、イヤホンによる耳塞ぎ、そして傘。やってはいけない行為三つを一枚に纏めた、実に秀逸な掲示である。右上の「です!」の左側には恐らく赤文字で、「違反」という二文字があったと思われる(赤色は看板系では最も「蒸発」しやすい色である)。
 それにしてもこの男、見るからに人を苛立たせる面構えである。いかにもこの手のことをやりそうである。

 自転車関係では、防犯(ロック)に関するものもある。これは工事現場にあった例である。

京都市南区西九条森本町の自転車に愛「錠」を注ぐ人(2015年5月)

 自転車の鍵は二つ掛けましょうという呼びかけである。「愛錠」とはまたウマいことを……と(取り敢えず)賞賛したい。ちなみにこの看板は、木材(京都府産の間伐材とのこと)で作られた看板の上に、メッセージやイラストを印刷した透明シートを被せたもので、なかなか凝った作りである。
 これも京都市内にあったものだが、2023年に見直すと「ああ、そういうのもあったねぇ……」としみじみ思うものである。

京都府京都市北区上賀茂のツーロック推奨少女(2015年8月)

「鍵-1GP2014」なる標語コンテスト、中学生の部最優秀作品とのことである。当時流行ったお笑いのネタを使ったものである。日本エレキテル連合のギャグ「だめよ〜だめだめ」は2014年の新語・流行語大賞を受賞したとのことだが、このコンテストの方が、先に結果が出ていたのだろうか。後だったら、その辺りを考慮して鍵−1GPの選考には残らなかったかもしれない。
 流行り言葉なので当時は極めてキャッチーなものだったに違いないが、今見直してみると、何というか、うら寂しさはやはり否めない。流行り言葉が免れ得ない、悲しい宿命である。ちなみにこのポスターは、撮影後間もなく撤去された。ご覧の通り既に日焼けがかなり進んでいたので、役目は十分果たしたのではなかろうか。
 ところで鍵−1GPは、今でも行われているのだろうか。それとも単発の企画か?(敢えて調べることはしない)

 違法駐輪に関する掲示もある。これは地域の小学生の作品である。

茨城県つくば市中央公園の違法駐輪犠牲者(2008年5月)

 白い杖をついて道を歩いている人は、どうやら目が不自由な人らしい。左の方は、駐輪場に自転車が並べられているので、安心して通行できている様子である。一方、右の方は、視覚障害者誘導用ブロック(黄色いタイル上のもの)の上に自転車が何台も置かれていたために、大変な目に遭っているという状況である。極限までシンプル化された、自転車の表現がなかなか良い。何となく、意志を持った自転車の群れに襲われているような光景にも見えるが、それもまた良しである。

 最後は、工事現場のもので締めたい。これは通行人への呼びかけである。

神奈川県横浜市西区の降車通行人(2015年9月)

 歩行者に対して通行の注意を呼びかけるものはしばしば見掛けるが、自転車に関しては、案外少ない印象もある。この現場は横浜駅のすぐ近くで、自転車で駅に乗りつける人も多いという事情もあったのかもしれない。

 今回は自転車運転車用ヘルメット(保護帽)絡みで、自転車関係の看板や掲示の話となったわけだが、現場のヘルメット絡みのことはまた後日としたい。

京都市左京区の保護帽(2013年11月)