直立不動オジギビトの最もスタンダードな形は、真っ正面から彼らを見る形になっているものである。この場合、オジギビトの視線は、深いオジギ姿勢だと真正面、やや前方に向けられることになる。
しかしオジギビトの中には、オジギしつつも何故か視線が別の方向に向いている人もいたりする。今回は、そうした人々の例を少々紹介したい。
非常に体格の良いオジギビトである。上半身の逞しさに反比例した、下半身の先細りぶりが実に好印象である。それは良いのだが、やはり彼の顔の向きに目が行ってしまう。
彼の身体と保護帽はきちんと正面を向いているが、顔はやや左を向いている。ちゃんと左耳も、頭の輪郭に隠れ気味になっている。通行人に対して頭を下げる事に対して、彼なりに何か思うところがあるのだろうか。
一つ考えられるのが、彼をデザインした人が、この鼻の形にかなりこだわりを持っていた、という可能性である。少し首を振り気味にしなければこういう形には描けないので、敢えて……というのは、考えすぎであろうか。
今風のシンプルで整ったオジギビトである。彼もまた、身体と安全帽は真っ正面を向いているのだが、顔はほんの僅かながら左を向いている。「ふ……」とか顔の横に書き加えても、違和感がなさそうな人である。彼の場合は、鼻がオミットされているので、静岡市の例のような解釈は不可能である。顔パーツ(目と口)の、ちょっとした配置の具合による偶発的なものであろうか?
この看板全体を見てもう一つ注目すべき点は、彼の横にあるメッセージである。文字がところどころズレている、というより、文字列が明らかに波打っている。「気をつけて」の「を」や、「しばらく」の「く」が、ずれとしてはっきり分かりやすいであろうか。一文字ずつ活字を組み合わせて作った感が濃厚である(その点で今時の看板としては結構珍しいかも?)
この人は全国的に活躍していると思われる、非常に可愛らしいオジギビトである。しかし、何ゆえ彼の下半身は、少々左の方を向いているのか。左手が身体の背後、右手が前に出ている事からも、彼の身体がやや捻られている事は明白である。足を見ると、やはり右足の方が僅かに前に出ている感じである(靴が少しだけ大きく見える)。
小中学生、特に低学年の小学生などは、気をつけの姿勢を取ろうとしても、何故かどこかが必ず歪んだり曲がったりしている場合がしばしばあるが、彼の場合もそれと似通った現象なのかもしれない。現場作業者としては異様に幼い顔だし……。
これは作業をしていない事を示している、彼の姿である(画像がちょっと悪いのはご容赦いただければ……)。彼の背丈はコーンよりも少しばかり高いくらいであるが、これが通常よく見る大きさのコーンだとすると……やはり彼は幼児なのか??
作業をしている事を示している例は数多い、というよりそちらがオジギビト衆の通常業務であるが、していない事を示している例は、それらに比べるとやはり多くないように思える。