先日、四国支部長から、もう長らくリアル世界では出会えていない人の写真が送られてきた。
藤木工務店専属の、直立不動型オジギビトである。右手の仕草が、「いやあ〜どうもすみません……どうか、どうかご協力お願い致します」という感じである。
この人には、過去何度か様々な場所で出会っているはずなのだが、その活躍ぶりを写真におさめる事は、してこなかったと思う。そういうわけで、本部長が唯一自分で撮影した写真は、1999年1月に東京都台東区東上野で、初めて出会った時のものだけである。実に四半世紀前……。ちなみに下の画像二枚は、銀塩カメラのプリントのスキャン画像である。
2024年の倉敷市の彼に比べると、かなり日焼けしている。服も黄色系ではなく、緑系である。頬の二重線の色も、違うようである。しかし、それらを除くと、顕著な変更・改修部分はない。
この人がいつ頃デビューしたかは定かではないが、もうこの時点で既に、完成され尽くしたデザインだったと言えるだろう。90年代末期は、まだまだ描線や塗りが良くも悪くもフリーダムな(!?)オジギビトも多かったが、この人の場合は、明らかにちゃんとしたプロの手によるデザインと言える。(社内で「腕におぼえあり」な人がやってみた、というのももちろんあり得るだろうが……)
ちなみにこの人、映画「マトリックス」の設定に基づいて作られたオムニバス・アニメーション「アニマトリックス」のエピソードの一つ、第7話「ビヨンド」(監督・脚本:森本晃司)に、数秒間だけ登場する。
ところでこの人、1999年と2024年で、服と肌の色以外は、全然変わらない感じと言ったばかりだが、実は少しばかりバリエーション展開……というか「ぶれ」が生じたこともある模様。それが次の写真である。保護帽のマークでも分かる通り、同じ藤木工務店の現場である。
全体の感じは、1999年の彼と共通である。しかし口のカーブや頬の膨らみ(および赤み)の表現、目の感じ(黒目の点と目の輪郭の微妙な位置関係および太さ)などに、僅かながら差異があるようである。ネクタイやベルト(バックル部)、そして安全靴などにも、やや変化が見られる。
輪郭線の強弱というか不安定さは、何と言うか「コピーを繰り返し取った結果の劣化」のような印象を受ける。「劣化」と言っては失礼だが、この看板の彼は、看板として発注される際にそういう「変質した原盤」を元にして作られたのかもしれない。しかも靴などに、少々のアレンジを入れて……。
もしかすると、この東京都大田区の彼のような「変種」は、既に何人も登場しているのかもしれない。今回倉敷市で見つかった彼は、「たまたま」1999年の彼とほぼ同一だっただけなのだろうか。
彼の変種の活躍ぶりと、今後の変化は、追跡し続ける必要があるだろう。
この人に関しては、2年前に取り上げたことがあるが、2024年現在も変わらず現役であることを祝して、敢えて彼だけピックアップして、再度紹介させていただいた(写真の解像度も高いし)。ご了承いただけると幸いである。