先日は、製品版をもとにした自作の飛び出し児童看板について、一例を紹介した。
今回は、飛び出し児童看板について回る課題……と言っては大げさだが、「予め決まった形の板に、どういう図案を描き込むか」ということに、作り手がどう向き合ったかの例を紹介してみたい。なお今回の写真は全て、2009年12月に京都市下京区の、同一小学校区内で撮影されたものである。
まず、本来の「この形の板に、こういう図案の絵を描く」という思惑に、忠実に沿った形で作られたと思われる例を。
ランドセルを背負った、飛び出し少年である。帽子を被っているので、頭にはその分の出っ張りがある。背中にはランドセルを背負っているので、その分の膨張部がある。
そしてこれが、彼の裏面。女の子である。
ど真ん中に白いポールが重なっているのが、ちょっと気の毒である。それはまあ仕方ないとして、「帽子を被り、ランドセルを背負った飛び出し最中の少年」の板の形を、うまいこと活かしている。彼女も帽子(ベレー帽?)を被っているので、帽子の出っ張りカーブは同じような形で活用されている。ランドセルの分は、髪の毛に活用されている。両面ともに、うまいこと板の形を利用した、美しい飛び出し児童看板と言えるだろう。
しかし、この校区の飛び出し児童看板は、恐らく児童も加わっての手作りと考えられるため、中にはなかなかスゴいものも……。これは別の場所にあった奇抜な衣装の人。
円らな瞳、カワイイエプロン、そして頭の生物的被り物が目を惹く。(何となくだが、この人は児童ではなく、むしろ保護者によるデザインのような気もする……)
そしてこの人の反対側には、謎の緑色の生物が存在していた。
カエル?トカゲ?やはりカエルだろうか?まあとにかく、人間ではないことは確かである。ピンク色の丸い部位は、何となくカエル感があるが……。反対側の面の人は、この生物を頭から被っているような感じ、という設定なのであろうか(目の感じが違うが)。
ちなみにこの看板の下に付いているメッセージはこちら。
待った待った止まれ危ないよと、なかなか念入りな警告の群れである。
そしてこれが、この形の板を非常に「大胆」に使った例。ある意味では「巧み」とも言えるかもしれない。
元々の想定では手になる部分を、鼻に見立てたわけである。そしてそれに合わせて顔が作画されていると……。帽子の膨らみはこうなると些細な出っ張りでしかなく、髪の毛の膨らみとして使われている。かなり大胆な出で立ちの人だが、全体としてはちゃんと「飛び出し児童」としてまとまった感じもあり、なかなか侮れない。ちなみにこの裏面の様子は不明。
最後に、この板の形をうまく利用した、女の子の写真で占めたい。
まあ当然ながら、この校区の飛び出し児童も、既に何度も代替わりしていることだろう。その都度、実に個性的な面々が、活躍していたに違いない。しかし、北区での状況から察するに、あまり道路の幅などに余裕がない京都市内では、年々数を減らす傾向にあった可能性はある。この種の飛び出し児童看板は、車との接触などの問題が無視できず、北区のある地域では年々数が減っていった。町内会で設置したものだろうが、恐らく管理や新規作成などの問題もあるのだろう。つまり「人手」の問題である。
その後の追跡調査はもはや望むべくもないが、まあ置ける場所には、児童の安全のために、今後もこういう飛び出し児童看板を置いてもらいたいものである。