オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ

【現場路上観察】支えるものたち(4):支える動物たち(2)

 これまで三回に渡り、金属棒を支える「支えるものたち」について紹介してきた。

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 今回は「支える動物たち」の続きと、動物でもオジギビトでも、有名版権キャラでもない例について紹介したい。

 最初は支える海獣の例を。

北海道釧路市武佐の支えイルカ(2020年9月)

 下の金属棒を支えるための穴を、イルカという動物の特性を利用してうまいこと確保している。地面と接する部分は、波のようである。

 次の例は、現場で働く気満々の陸生動物の例である。

北海道釧路市武佐の支えキリン(2022年4月)

 このキリン、赤いスコップを持っている。労働動物衆の仲間に入る資格は十分にあると言えよう。(もっとも、支える動物たちは全て、労働動物衆と認定しても差し支えない、現場への貢献ぶりである)

 使いやすいキャラクターとして扱われるあの鳥類も、支えるものとして活動している。

岐阜県土岐市の支えアヒル(2017年12月)

 改めてこの写真を見ると、下側の金属柱がない。用意できなかったのか、必要ないと判断されたのか……。

 次は、これまでの支え動物とは多少毛色が違う感じの、支え動物である。

石川県金沢市の支えネコ(2016年9月)

 支えネコである。顔の部分の表現が、これまで紹介した支え動物とは、かなり違った印象を与える。

 次は支えキツネである。地域的にはキタキツネということになるが、「ご当地もの」かどうかは現時点では不明である。

北海道釧路市大川町の支えキツネ(2020年9月)

 額の部分に、葉っぱが付いている。人を化かすときに使う葉っぱということだろうか。

 次は富山市内で活躍中の、支え鳥類である。この時期は北陸新幹線が建設中で、その関係で大量配置された「支えるもの」の一つであると考えられる。支える台全体にその動物が一個体割り当てられるのではなく、通常型の支持台の上に、複数が配置されるというデザインである。

富山県富山市新富町の支え鳥類(2014年9月)

 少々調べたところ、このキャラは新潟県の宣伝マスコットキャラ、「トッキッキ」ということであった。つまりトキである。富山県なのに……と思ったが、まあ北陸新幹線繋がりということで良しとしたい。

ja.wikipedia.org

 次は全く同時期(というか同じ日)に、別の現場に配置されていた「支え新幹線」である。

富山県富山市明輪町の支え新幹線(2014年9月)

 北陸新幹線がカッコ良くも美しく配置されている。下の方にある白い地図は、北陸新幹線の通る所を示している。しかし本部長はこれを見た時、一瞬だけとはいえ「ちょっとデフォルメした鳥取県」に見えてしまった(能登半島が弓ヶ浜に見えてしまったということに……)。まあ鳥取県には少なくない期間住んでいたこともあるので、ある種の条件反射(?)的なことと言えるかもしれない。

 そして今回の「支えるもの」の最後を飾るのは、「支える北海道」である。

北海道釧路市白樺台の支え北海道(2018年4月)

 二枚の写真共に、北海道が左右逆になる方向からの撮影だったことは、どうかお許しいただければ……。それはともかく、他の都府県にも、県の形を何らかの形で取り入れた支え台があるかもしれない。中には結構、デザインとして使いにくい形の県もあったりするのではなかろうか。

 この「支えるものたち」は、他にもご当地ものや版権キャラなど、数多くのものが全国で活躍しているに違いない。注目している人も結構多い模様である。今後も様々な支えるものたちが出てくることを、期待したいところである。

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【現場路上観察】支えるものたち(3):支える動物たち(1)

 これまで二度に渡り、金属管を支える「支えるものたち」について紹介した。

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 今回は「支えるものたち」の中でも最も大きな勢力と言える、支える動物たちについて紹介してみたい。

 本集会所で、正式に支える動物を写真にちゃんと記録したのは、2008年の11月、北海道釧路市内、弊舞橋のすぐ近くでのことだった。

北海道釧路市大川町の支えカエル(2008年11月)

 カエルが「Sorry!」の陳謝メッセージを掲げつつ、金属管を支えている。カエルは裏と表で表情が異なる。

北海道釧路市大川町の支えウインクカエル(2008年11月)

 支えカエルには全く別のデザインのものもあり、どちらかと言えばこちらの方が、出会う確率が高いように思える(個人的に)。

京都府京都市左京区の支えカエル(2013年3月)

 こちらのカエルは、前足(両手)をこちらに広げて見せている恰好である。目の下の赤丸は、頬の赤みの表現であろう。このカエルの変わった使用例として、釧路市内の住宅地の中にある畑の囲いに、装飾として幾つかぶら下げられているのを見掛けたことがある。

 次の写真の支えウサギも、様々な場所で活躍している模様である。

京都府京都市北区の支えウサギ(黄)(2011年9月)

 このウサギにはピンクバージョンもある。

北海道釧路郡釧路町木場の支えウサギ(ピンク)(2021年5月)

 上の写真、実は工事現場ではなく、ホームセンターの花売り場の仕切りとして配置されているピンクウサギである。ウサギの傍で棒を支えているのは、どうやらペンギンのようである(水色だが)。

北海道釧路郡釧路町木場の支え青ペンギン(2021年5月)

 恐らく、駐車をさせないための障害物の役目を担っているものと思われる。よく見ると、白い蝶ネクタイらしきものも見える。

 東京都大田区蒲田の現場では一時期、大量の支え猿が出現したことがあった。

東京都大田区蒲田の支え猿(2013年9月)

 京急蒲田駅の工事は結構長い間続いていたので、ある時期は用事で通るたびに、必ずこの猿たちに会っていたような気がする。今はこの猿たちも、何処か別の現場で活躍していることだろう。

 ぱっと見では、すぐに何の動物か分からないような支え動物もいる。

富山県富山市五福末広町の支え狸(2014年9月)

 この黄色い動物は何だろうかとしばし考えてしまったのだが、狸あたりだろうか(熊かもしれないとも思ったが、どうやら狸で正解のようである)。動物の種類とは関わりないことだが、長い睫毛の目がとてもカワイイ。

 同じ現場の別の所には、この動物のカラーバリエーション(オレンジ)と、支え鹿がいた。

富山県富山市五福末広町の支え鹿(2014年9月)

 角で上側の金属管を支えている。こうして改めて見ると、支え鹿はわりと凝ったデザインで、台座としてうまいこと纏められているようである。

 動物の特徴をデザインとしてうまく纏めているもう一つの例が、次に示す支え象である。

京都府京都市上京区の支え象(2016年11月)

 象らしく、上側の金属管を、長い鼻で支えている。この象、よく見ると後ろ足を開いて、地べたに尻を付けて座っているようである。この写真では目や足先などが黄色く見えているが、反射材が貼られているためだろうか。

 支え動物の例はまだまだあるので、続きはまた次ということにしたい。

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【現場路上観察】支えるものたち(2):支えるキャラたち

 前回の記事では、金属棒を支える台座となっている「支えるものたち」の中から、実はこのカテゴリーではマイナーな存在と思われる、支えオジギビトたちについて紹介した。

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 この「支えるものたち」の中には、誰もが知る超有名キャラクターも存在する。実はこちらの方が、先に紹介した支えオジギビトよりも、現場への展開数という点でメジャーな存在かもしれない。今回はそれらの例を紹介したい。

ガチャピンとムック

 老若男女、誰もが知っているであろうガチャピンムックも、この支えるものたちとして活躍していた。

北海道釧路市武佐の支えガチャピンと支えムック(2022年4月)

 一番上の写真では、ガチャピンとムックがペアとなって、ひと組の仕切りを構成している。恐らくこの現場では、ガチャピンとムックをペアとして扱うように、きめ細かい配慮があったものと思われる。機材調達の係の人が、そういう提案をしたのだろうか。

 他の現場では、ガチャピンだけでムック不在という場合もあったりする(下の写真)。

北海道釧路市白樺台の支えガチャピンペア(2018年4月)

キティちゃん

 超有名キャラということでは決して引けを取らない、キティちゃんも現場で頑張っていた。下の写真は、北海道の知床、「オシンコシンの滝」の現場で活動中のキティちゃんである。

北海道斜里郡斜里町の支えキティちゃん(2015年8月/四国支部長報告)

 虹にしがみついているキティちゃんである。身体はどこへ?という疑問は、この「支えるものたち」に関して言えば野暮というか、無意味な疑問である。台座の真ん中辺りは、下側の金属棒を支えられるようになっている必要がある。この場合、虹というアーチ状の構造のものをうまく使って、デザインと支持台としての構造を違和感なく成立させている。

 一方、岡山市で出会った支えキティちゃんは、何と保護帽を被り、自ら現場作業員として活動していた。

岡山県岡山市北区の支えキティちゃん(2020年1月)

 保護帽とリボンの前後関係がちょっと気になるが、リボンがはっきり見えていることが、キティちゃんの重要なアイデンティティの一つと思われるので、これで正解なのであろう。(保護帽の前に付けたオプションとも解釈できる)

 知床の例とは異なり、この場合はキティちゃんの胴体に大穴を開けなければならない。しかしそれは、「支えるもの」としての、ある種避けがたい宿命とも言える。

ONE PIECE

 次も有名どころである。

京都府京都市南区の支えルフィ(2016年11月)

 マンガONE PIECE」の、ルフィの群れである。これから現場で活躍だ!という、配置直前の状況だろうか。

 そしてこれもONE PIECEから。トニートニー・チョッパーである。上の写真のルフィと、同じ姿勢を取っている。

東京都中央区の支えチョッパー(2017年12月)

 本作のキャラに関しては、本部長がこれまで出会っているのは、これらだけである(ルフィがやはり出会う確率が高いようである)。本作に登場する数々のキャラの中で、「支えるもの」として「映える」のは、やはりルフィとチョッパーということなのだろうか。これだけの有名かつ人気作品ならば、他のキャラもあって良さそうな気も……と思ったのだが、少々調べたところでは、現在のところ現場で活躍中なのは、彼らだけのようである。

初音ミク

 最後は、ボーカロイド初音ミク」の支え姿を。とはいえ、「頑張って棒を支えている」感じではない。

北海道札幌市の支えミク(2020年7月/北海道支部報告)

 台座に見合った形態ということで、デフォルメ版となっている。右手には何かを持っているようである。このミク自体が、元々ある画像の使い回し(と言うと身も蓋もないが)と思われるので、持っているのは長ネギであろう。使い回しなので、金属棒の支持台としての構造に、必ずしも「最適化」されていないのが残念である。右手先端が隠れないような構造になっているという、作りの細かさもあるのだが……。新規に描き起こすとなると、それはもうスゴい金額になると思われる(もちろん、勝手にメーカー側で描いてしまうわけにも行かないわけで……)。

 

 恐らく版権キャラの「支えるものたち」は、この他にも多数存在していることだろう。しかし、やはりこの「支えるものたち」グループを支配しているのは動物たちであり、当面その地位は揺るがないものと思われる。次回は(うっかり忘れなければ)、支える動物たちについて紹介していきたい。

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【現場路上観察】支えるものたち(1):支えるオジギビト

 先日、何かのテレビ番組で、街中の色々なものを撮影している人々のSNSに関して紹介していたのを見掛けたが、その中に今回紹介する「支えるものたち」(本集会所での呼称)を集めいている例も紹介されていた。

 本集会所でも、工事現場の境界を仕切るための金属棒を支える台座(で良いのだろうか)に関しては、以前から注目していた。この「支えるものたち」は、動物が大勢を占めており、その次に版権キャラクター、そして汎用的な人型という勢力分布となっている模様である。今回は手始めに、最もマイナーな存在かもしれないが、活躍の場はわりと多そうな、汎用・人型の「支えるものたち」を紹介する。とはいえ、実質的に男女二人分だけなのだが……今のところ。

 なお、全て「現場での実際の活躍」の様子であり、ネットなどで出ているカタログからお手軽に取ってきた画像ではないことは、強調しておきたい(一目瞭然ではあるが、一応)。

 

鳥取県東伯郡三朝町の棒支えオジギビト(2011年9月/四国支部長報告)

 この人が、本集会所で始めてその活動が捉えられた、棒支えオジギビトである。スタンダードな直立不動姿勢を取っており、そのオジギポーズをうまいことデザインに取り入れている。

 棒支えオジギビトには、女性の仲間もいる。次の写真は、京都市内での例である。

京都府京都市南区の棒支えオジギビト(2014年10月)

 形は同じなのだが、素材の色と顔の部分が異なっている。このご時世、赤とかピンクを「女性の色」と決めつけるのは古いとか何とか言われそうだが、長い睫毛が特徴的なカワイイ顔立ちは、女性と判断して差し支えなかろう。

 この人には、独自展開的なバリエーションが確認されている。次の写真は、京都市内に大量展開した、女性棒支えオジギビトである。

京都府京都市左京区の棒支えオジギビト(2015年5月)

 直立不動オジギではなく、床(というか地面)に座った姿勢でのオジギをしている。しかも和装である。顔はお馴染みの彼女なのに、どういうことか?と思ったら、上から和服をプリントしたシートを「着せられて」いた。

和装拡大写真

 和服を印刷したシートを上から被せている。この棒支え人、この現場ではかなりの大集団なため、「着付け」は大変手のかかる作業であると思われる。

 この「和装棒支え人」、確か2015年か16年あたりに、ネットニュースなどでも、少々話題になったことがある。こうして改めて拡大写真を見ると、思った以上に手が込んでいることが見て取れる。指の爪の淡いピンク色など、実にさりげないのだが、気が付いた瞬間にぐっと目が引きつけられずにはいられないものである。

 次回は、「版権キャラ」の棒支えのものたちを紹介したい(忘れなければ)。

 

「みうら分類」では分類不可能な飛び出し児童たちも、そろそろ紹介してあげねばと思っているが……少々、写真の整理が必要である。

 

【オジギビト】トリコロールな人

 テレビやネットのニュースその他では、相変わらず猛暑だ、酷暑だと大騒ぎだが、道東太平洋側は別世界のような涼しさである。曇りかにわか雨という不安定な天気のせいもあるが、8月3日14時頃の気温は、21度であった。しばらくは、このくらいの冷涼な気候が続くと思われる。

 

 さて今回は、旧集会所の直立不動オジギビトの個別ページでも紹介していた、「トリコロールな人」を紹介したい。つまりフランス国旗のような赤白青の三色の服を着た人で、東亜建設工業所属のオジギビトである。色遣いが目を惹く人なので、見たことがある人も多いのではないだろうか。

東京都大田区蒲田のトリコロール直不人(2013年9月)

 とり・みき氏の「街角のオジギビト」では、ベンケイ型の一例として紹介されている(後ほど紹介)。とり氏は「人?」とクエスチョンマークをつけておられたが、確かに鼻の形状と色は、人間というよりはコアラとかの動物を思わせるものである。
 最大の特徴はやはり、彼の服装とその色遣いであろう。足があまりにも短すぎでは?と思ってしまうが、上衣とスカートが一体となった、いわゆる「ワンピース」の構造を持った衣服なのかもしれない。トリコロールは、東亜建設工業のマークの色遣いに由来しているのであろう。
 この写真の彼は、大地にすっくと立ち、「気をつけて作業しております!」と力強く宣言しているような印象である。

東京都大田区蒲田のトリコロール直不人(2016年11月)

 この写真の彼は、三色の境界線や服の輪郭から、オジギ姿勢を取っていることが分かる。横に示されているメッセージに沿うようにするならば、オジギしていることが明確に分かる方が、より望ましいと思われる。

東京都大田区蒲田のトリコロールベンケイ人(2015年5月)

 典型的なベンケイ姿勢の彼である。ベンケイ型の場合は、上半身だけが看板上に見えている場合が多いのだが、彼の場合は足までちゃんと見えている。ただ、数あるオジギビト衆の中でも、残念ながら彼の足はトップクラスの短さと言えるだろう。(服がワンピースのスカート的な構造だったとしても……)

東京都大田区蒲田のトリコロール安全第一人(2016年11月)

 彼は安全第一を発信する役目を担っており、カテゴリーとしては内輪型に分類されるものである。「安全第一!頑張ろう!」的な呼びかけを、現場の作業者の方々に向けて、左手を上げて元気に発しているのがよく分かる。

 なお今回の東亜建設工業の人は、写真の撮影時期からも分かるように、別々の三カ所の現場で撮影されたものである。しかし撮影地域は全て、東京都大田区蒲田であった。

 今後、彼のバリエーションはどう展開していくか、気長に見守っていきたい。(道東ではちょっと逢えなさそうではあるが……)

【本】「ポスドクの心得6か条」リリース

 2022年7月29日、本部長が書いたミニ本4冊目「ポスドクの心得6か条」がリリースされたので、またしてもこの場を借りてお知らせさせていただこうと思う。amazon楽天など複数の電子書籍販売サイトで発売中である。(著者名は「Bowing Man」である)

 博士号を取得後に、大学などの研究機関で非常勤研究員などのポストを得て研究に従事している人(ポストドクター、略してポスドク)が、研究を進めるうえで「こうすれば良いのでは」、「こう考えると多少は楽になるのでは」的なことを6つの条項に分けて、ごく簡単に記載している。

 サブタイトルから察せられるように、ポスドクの立ち位置とは大抵の場合非常に危ういもので、常に将来への不安を抱えつつ、日夜研究に励んでいる。本書はポスドクという立場で頑張る人々への、ある種の「応援歌」的なものと言えるかもしれない。

 しかし7月中に2冊出るとは思っていなかったので、ちょっとビックリである。それはともかく(?)、これまで出版された三冊も、何とぞ宜しくお願い致します。

 

【オジギビト】口で語る人

 オジギビトが正面を向いてオジギをしている場合、オジギ角度が深いと、目が保護帽の陰に隠れることがある。そのような状態では、オジギビトが何を思ってオジギしているのかは、他の顔パーツ(ほぼ口に限定されるが)で推測するしかない。今回はそうした「メカクレオジギビト」の一例を紹介してみたい。

高知県高知市のメカクレオジギビト(2007年9月/東海支部長報告)

 口の描く曲線が、ちょっと複雑な内面を表していると言えるかもしれない(?)、直立不動オジギビトである。微笑んでいるようでもあり、何か言いたげでもあり……。この場でこうしてオジギする事に関して、彼自身何か思うところがあるのだろうか?と思わせる、微妙な口の曲線である。

 緑の保護帽に大きく「和」(かのう)の白い一文字が書いてあるのが、印象的である。

兵庫県姫路市・JR姫路駅構内のメカクレオジギビト(2007年3月)

 高知市の人よりもちょっと細い感じのする、色違いの人である。トイレ掃除の時によく見掛ける「清掃中」のポータブル看板の上に、貼り付けられている(彼の背後に、モップ的なものが透けて見える)。

北海道帯広市・JR帯広駅構内(2014年1月/北海道支部報告)

 JRだからというわけではないだろうが、帯広駅の彼も、カラーリングは大体共通である。しかし保護帽には、札建工業のマークが入っている。

京都府京都市中京区のメカクレオジギビト(2018年12月)

 積水ハウスの現場にいた彼は、横幅が伸びていた。姫路駅の人と同じ感じの、緑十字が保護帽に付いている。恐らく彼も「素材集出身」の人ではないかと思われるが、保護帽の緑十字は最初からのものだろう。札建工業や和建設では独自に、緑十字を差し替えているものと思われる。(和建設の場合、保護帽のカラーリングとディテール追加もなされている)

 これまで紹介した彼は、薄笑いの中に何か別の感情を隠したような、微妙な口の曲線であった。しかし、ゼロホームの現場の彼は、かなり違う印象である。

京都府京都市左京区のメカクレオジギビト(2009年10月)

 口の描くカーブが、明らかに上向きである。マンガの記号論的には、これは不機嫌な時や、怒っている時の表現である。しかしオジギビトの場合、こういう口の感じでも別に機嫌が悪いことを示しているのではない。「安全に工事します!」という固い決意の表れであろう。

 

 これまで紹介した写真の彼は、恐らく共通の素材からのものである。しかし、鳥取県倉吉市にいた彼は、ちょっと違う感じであった。

鳥取県倉吉市駄経寺町のメカクレオジギビト(2009年7月)

倉吉未来中心」の現場にいた彼は、どうやらこれまで紹介した彼の「簡略版」のようである。左腕の腕章がなく、肩のラインもない。ズボンと靴の輪郭も一直線に繋がっている。この簡略化の際に、口のラインが下向きのシンプルなカーブ、すなわち完全な「笑い」の方に変わったのだろう。(一方で保護帽には、独自のディテールが加えられていたりする)

 なお、写真がやや小さいのは、何故か元の写真が見つからないためである。何とぞご了承いただきたい。

 

 このメカクレオジギビトの、保護帽を被っていない姿ではないかと思われる人も、実はいたりする。「他人のそら似」の可能性もあるが、ここで併せて紹介しておきたい。

東京都大田区西糀谷のオジギビト(2007年6月/H.E.氏提供)

 保護帽を取ったらこんな髪型だった……と思われるのが、この人である。髪の七三分けが目を惹く。

 胸ポケットや襟周りなどは多少異なるが、オジギ姿勢や腕章、肩の二本線など、服装には共通した特徴が幾つか見られる。顔の輪郭は、この人の方が明らかに尖った感じである。左腕で保護帽を抱えているが、やはり保護帽のサイズは、彼が被るにはちょっと無理そうな感じである。