オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ

【路上観察】怪奇!稼働状況不明自販機の罠

 日本国内では、至る所に膨大な数の自動販売機が設置され、稼働中である。これだけあると、中には既に停止状態で「ただそこに置いてあるだけ」のものも、稼働中の機械の間にちらほら紛れ込んでいたりするものである。(実際、先日近所のコインランドリー近辺で見かけた)
 しかし中には、どういう状況かよく分からない(十中八九、正常には使えないとは思うが)、自販機も存在している。昔の写真を整理中にその好例が偶然発見されたので、よい機会(?)という事で今回紹介してみたい。
 場所は東京都千代田区岩本町、2017年12月の撮影である。まずは自販機の全景。

東京都千代田区岩本町の自販機(2017年12月)

 硬貨投入口と札の挿入口が、緑色の養生テープで封印されていることから、意図的に使用不可(と言うより拒絶)の状態に置かれている事が分かる。しかし、左下の2つを除いて、「売切」の赤ランプが点灯している事から、この機械自体には通電されている事も、即座に見て取れるだろう。

「紙幣も硬貨も挿入不可」という意思を示す養生テープ

 上の写真からも分かる通り、「販売中」の表示が点灯している。しかし釣り銭は出てこないようである。紙幣はダメだが、硬貨は何となく、テープをちょっとめくれば入れられそうな感じである。(何となく、誰かが既にめくってみた感じでもある)
 本当に売っているのか?と思わせる商品の見本陳列部は、このような惨状。

不安しか感じない商品見本部

 上の列は、完全に売る気なしという事が、即座に見て取れる。左下の2つだけ、「売切」のランプが灯っていない。ということは、赤い缶のWONDAだけは100円で買えるという事なのだろうか?
 右上の注意書きらしきものの拡大写真はこちら。

注意書き

 そうするとこの自販機、毎日律儀に0時から7時までは電源を落とされて、7時以降は毎日、左下の赤缶WONDAを売るためだけに、稼働させられているのだろうか。しかし硬貨投入口にも、購入を拒絶する養生テープが……。どう考えれば良いのだろうか。
 まあ、普通はそんな面倒な事は考えずに、他のもっと「まともな」自販機を利用するだろう。さすがに、養生テープを剥がして100円硬貨を入れることはしなかったが、今思うと「ちょっと試してみたかった」と思わなくもない。あるいは少し離れた所で待機して、この自販機に興味を持った人の反応(そして買ってみるかどうか)を、しばらく観察してみても良かったかもしれない。相当な暇人のやる事だが。
 自販機を個人で運用したことはもちろん無いのだが、実は何らかの決まりやら契約やらで、「売る気がもはや無くても、是が非でもある一定期間は機械を動かさねばならない」という掟のようなものでもあるのだろうか。こういう「売る気がほぼ無さそうなのに通電されている」例を見ると、その辺りの事情をちょっと探りたくなる(多分、聞いてみると大した話でもないのだろうが……)。

 個人的には、これまで「稼働状況が不明(殆どダメな感じ)」の自販機については、飲み物の販売機よりもむしろ、乾電池の自販機が、割と出会う率が高かったように思える。既に昭和〜平成期の遺物扱いかもしれないが、乾電池の自販機は、たまに見かけると「おお頑張ってるな」と嬉しくなると同時に、ちょっと哀愁を誘うものである。

 ところで今回紹介した自販機、2023年の今はどうなっていることか……。ちょっと心配(?)である。