先日、釧路市内の道路工事現場で、久々にベンケイ型の新人に出会ったので、この場で紹介したい。
輪郭線の角は襟を除くとだいたい丸いのだが、直角あるいは直角に近い角度でカクッと曲がっており、身体も大部分が直線で構成されている。伝統的な手描き感溢れる人とは一線を画する、最近デビューした感を強く感じさせる人である。PCを全面活用して生み出されたことは、恐らく間違いないだろう。完全に左右対称であることも、それを強く感じさせるものである。
しかし顔の造形のせいだろうか、何故かある種の「懐かしさ」も同時に感じさせる人である。目にはハイライト(光の反射)もちゃんと入っており、丁寧な造形である。
この人の隣では、オジギビト界では超有名な古株の彼が、安全帯を使用するよう作業者の方々に呼びかけていた。
この人の活動自体は特に何の問題もないのだが、些細な違和感が少々。マルシーマークと"TEZUKA PRODUCTION"の記載が見当たらない。もう少し寄りで見てみると……。
どうやら、それほど高くない解像度でスキャンした画像を元に、独自作成された掲示のようである。恐らく外枠と鋲は、独自の後付だろう。
まあ、マルシーマークを付けてどこの出身かをアピールし続けている彼ではあるが、実は一番模倣されやすいのも彼だったりするわけである。有名オジギビトの宿命と言えるだろうか。それらに関しては幾つかの例があるが、またいずれ別の機会にということにしたい。ちなみにとり氏の「街角のオジギビト」で取り上げられた「ラフ」という手描きオジギビトの例も、確実にこの人がモデルである。
最後にこの人とベンケイ人の掲示を、引きで撮った写真を。