オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ

【路上観察】路上や路上外で出会うあれこれ

 既に4月に入ったが、旧集会所跡地と旧集会所は、未だ閲覧可能な状態のようである。しかし、いずれも既に更新などは一切できない。恐らくあと一ヶ月程度で、自動的に消え去ることであろう。

 今回は旧集会所に出していた記事の幾つかを、内容に統一性は全然ないが少々再構成しつつ記録として再度紹介したい。なお、またしても全ては「もらいもの」である。皆様(といっても実質2人だが)どうも有り難うございました。

悲劇!! ディアにハントされる少女と老女

 これは奈良県奈良市奈良公園の看板である。2014年4月に撮影されたものなので、もしかすると既に代替わりして、新しい看板になっているかもしれない。

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奈良公園で鹿に襲撃される人々(2014年4月/Y.Y.氏提供)

 

 奈良公園の鹿はあくまでも「野生動物」という事で、時としてこういう危険がありますよ……という事を示している看板である。杖をついた老女やおさげ髪の少女が、野生鹿の攻撃を受け、苦しんでいる様子が示されている。どれも結構大変な状況にも関わらず、ついついちょっと微笑んでしまうような、ある意味なかなかユーモラスなものである。しかし「たたく」で攻撃を受けている少女、実は洒落にならない苦痛を受けているのでは……と思わせなくもない姿勢である。

 関係ないがもう何年も前に、アフリカかどこかで、ロバのような大人しい草食の家畜が、突然人を襲って食べてしまったとかいう、にわかには信じがたい事件があったような気がする。「有識者」の意見が確か、「たんぱく質欠乏のあまり、緊急行動として人を襲ったのでは」とかいうものだったような……。しかし多分あれは、「ドッキリ映像」的なイタズラ記事だったのではないかと今では思っているが。(正直、当時その記事をじっくり正しく読めたわけではないので)
 奈良公園の鹿は、栄養がかなり行き届いていそうなので、せいぜいこの注意看板の例のように、手提げカバンを咬む程度であろう。しかし本当に、食人鹿が奈良公園に現れたらどうなるだろうか。

 

五人揃って……!

 北海道市部長から、釧路町木場で活躍する現場五人衆の写真が送られてきたので、集会所ではなくこちらの方で紹介したい。撮影は2018年9月27日である。交差点設置工事の現場事務所(不二建設株式会社)付近の写真である。

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北海道釧路郡釧路町木場の五人衆(2018年9月/北海道支部長報告)

 スーパー戦隊シリーズであれば原則として赤がリーダーであり、確かにこの五人の中でも赤が真ん中にいるのだが、この中でちょっと特別な地位にいるのは、一番端の白かもしれない(「ジャッカー電撃隊」のビッグワンの如く……)。
 地球をバックに並んでポーズをとる五人衆。これだけで、結構カッコいい感じがするのは不思議というか戦隊マジック(?)というか。

オジギ付箋紙出現

 2021年8月、北海道支部長から、札幌のとある100円ショップ(「ダ」や「セ」ではなく「キ」で始まる所だったかと……)で見つけたという品物をお土産として貰った。

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オジギ付箋(「キ」で始まる100均で購入)

 工事現場看板(の基本的な様式)を模した付箋紙であり、カワイイ直立不動型オジギビトも抜かりなく配置されている。主な用途としては、例えば職場などで少々席を外す場合に、机やPCモニタのフレームなどに貼り付けて不在期間やどこに居るかなどを示すというものであろうか。無論、シンプルなメモ書きなどにも使えるだろう。
 ちなみにamazonでも、本体より高い送料込みで売られていたりしたのだが、今現在はどうも見つからない様子。マーケットプレイスなので、複数の売り手が現れたり消えたりしているのだろうか。

見得切り全裸少年が駆ける

 北海道支部から、釧路市内のとある銭湯で、以下の写真のような掲示を発見したとの報告を受けた。

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銭湯の見得切り全裸少年(2021年10月/北海道支部長報告)

 全裸少年が水しぶきを上げつつ、そして何らかの理由で夥しくよだれを垂らしつつ、見得切りポーズを取っている。メッセージは明快で、水風呂に入る際の注意を促している。(頭に被っているものは何だろうか……サウナ関係の道具か何か? 最初は枯れたフキの葉っぱでも被っているのかと思ったが……)
 この少年に関しては、簡単にその出自が確認できた。通称というか正式名称は「ストップ坊や」。サウナ検索サイト「サウナイキタイ」というサイトの「サウナイキタイSTORE」では現在、彼のグッズとしてキーホルダーなども販売されており、サウナ愛好家の間では以前からわりと知られた存在のようである。
 ストップ坊やのグッズはこれまでも、ステッカーなどが出ていた模様である。今回この銭湯で確認された掲示も、それらのグッズの一つかもしれない。この写真の掲示、正確なサイズははっきりしないが、掲示として有効と思われるサイズ範囲や壁のタイルとの比較からして、それなりのサイズはあると思われる。しかしステッカーにしてはちょっと大きすぎなので、坊やの画像を基に、この銭湯で独自に作った可能性もあるだろう。
 それにしてもこのストップ坊や、工事現場オジギビト衆とは全然別のカテゴリーとはとても思えないような、強い親近感(?)を覚える。現場オジギ衆と非常に似通った遺伝子を有している……というよりは、ほぼ確実に同源なのではという印象である。本部長自身はサウナとかは全く利用しない(そして今後もまず無いであろう)のだが、この坊やの今後の展開は、時折確認していく必要があるのではと思い始めている。

【オジギビト】顔がテカるベテランオジギビト

 先の東南アジアの現場の人々に関する記事では、モデルとなったと思われる日本のオジギビトについても紹介した。

ojigibito.hatenablog.com

 今回は、そのオジギビトについて、もう少し深掘りしてみたい。(写真が少々小さめなのはどうかお許しいただけると幸いである)

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東京都新宿区西新宿の人(1998年5月)

 とり氏の「街角のオジギビト」で、典型的なオジギビトの一人として紹介されている人である。とり氏も指摘されているが、かなりのがに股である。
 そしてとり氏のもう一つの指摘点が、顔のてかりである。肌の色(日焼けであろう)が濃い方で、どの辺がてかっているかが良く分かると思う。

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顔のテカリ

 次の例は、保護帽もテカっているがなぜか控えめな例である。微小というか微妙なバリエーションと言えるだろうか。

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静岡県静岡市の人(2007年9月/東海支部長報告)

 次も静岡市の例で、服の色が少し違うバリエーションである。この人は、あまり日焼けしていないので、顔のテカりも無いようである。

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静岡県静岡市の人(2007年9月/東海支部長報告)

 

 次の例は、いつものカラフルな彼で日焼けも十分しているのに何かが足りない……と思ったら、顔や保護帽のテカりが消えてしまっていた例である。靴の先はテカっているというのに、これはどうした事かと思ってしまう。もしかすると彼の場合、単色化の最初期段階は、テカりの消失から始まるという事なのであろうか。

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京都府京都市左京区岩倉の人(2012年5月)

 しかし、今一度「引き」で見てみて目を惹くのはやはり、彼の頭上に浮かぶ「お願い」の一言であろう。メッセージの最初ではなく、敢えて最後に「お願い」と一際大きい文字で出す事に、特に大きな意味は無いのだろうが(多分スペースの有効活用程度であろう)、何だか彼が必死に懇願しているようにも見えてくるから不思議(?)である。 

 次の例は、かなり単色化が進んだ彼である。

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埼玉県草加市金明町の人(1998年2月)

 保護帽の緑十字以外、青系に単色化された彼である。そのせいで、顔および保護帽、靴のてかりが消失してしまっている。ベルトに関しては、薄っすらと黄色みを帯びているように思えるが、完全単色化へのちょっとした「抵抗」であろうか。
(ついでに言うと保護帽の黒線と緑十字、ネクタイや胸ポケットにも幾らか変化が生じている)

 次も単色化が進んだ例である。単色化が進み、顔や保護帽のてかりも無くなったが、保護帽やベルトの黄色が鮮やかに残されているという言わば「単色化中間過程」の彼である。

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富山県富山市五福の人(2011年2月)

 実は東南アジアの人々と同じく、日本国内でも彼の「クローン」とおぼしき人々がいる。

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京都府京都市左京区田中東桶ノ口町の人(2013年12月)

 強弱のついた胴体の輪郭と、頭部およびベルトの輪郭線の一定性が対照的である。また、この写真ではちょっと分かりにくいが、ベルトの輪郭線だけが、青ではなく黒いのも特徴の一つである。さらにクローン時の変化と思われるが、両耳の付き方がちょっと奇妙な事になってしまっている。
 胸ポケットの形状からして、上の単色化バージョンの彼からのクローンであろうか。そのせいか、保護帽および顔のてかりも、彼には確認できない。

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京都府京都市下京区の人(2012年2月)

 恐らく彼も、クローンの一人ではないかと思われる。彼の場合、耳は単純に頭部側面から張り出す形で違和感はさほどでもないが、代わりに口が失われ……いや、見えなくなっているようである。

 まあ、彼も相当長いこと現場で活躍するベテランなので、こうしたクローン的な人々が出てくるのも、ある意味当然の流れである。

 もちろん彼自身もまだまだ現役。ますますの活躍をお願いしたいところである。

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【海外オジギビト】東南アジアの現場の人々

 これまで、台湾、中国、そして韓国の現場の人々について紹介してきた。

ojigibito.hatenablog.com

ojigibito.hatenablog.com

 今回はさらに南下して、東南アジアの現場で活躍している人々を、何人か紹介したい。なお、今回もやはり、全て「いただきもの」である。皆様どうも有り難うございました。

フィリピンの現場警告衆と直立衆

 フィリピンでも、なかなか面白い人々が活躍していた。

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フィリピン・マニラ市 アジア開発銀行近辺のZAPな人々(2013年3月/H.K.氏提供)

 ZAPとはすなわち日本で言えば「災害ゼロ運動」、つまり「安全第一」を目指す運動の事であろう。災害ゼロに向かってがんばろう!とこの二人(男女のペアであろう)が現場で働く方々に呼びかけているわけである。二人の視線がさりげなくもしっかりと緑十字に向けられているのが、なかなか良い。腕をしっかり組んでいるというのも微笑ましい。

 

 次の人々は、上のシンガポールや下のミャンマーで活躍している人々と同類で、ほぼ確実に、日本のあのベテランオジギビト(この記事の一番下で紹介)の直系ではないかと思われる。

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フィリピン・マニラ市 ニノイ・アキノ国際空港の人々(2018年5月/H.K.氏提供)

 隣り合っている2つの看板上で全く同じ直立不動姿勢を取っている二人だが、右側の人(二組目の写真の人)は瞳をこちらに向けているようである。この瞳、現場の人々のイタズラなのか、あるいは最初からこうなのか、ちょっと判別が難しい。案外、現場の人ではなく看板業者の遊び心かもしれない。

シンガポールの直立衆

 2007年4月にNHK-BSの番組「熱中時間」を観られた方から、シンガポールの工事現場に立っている直立人の写真提供があったそうで、番組のディレクターの方が送って下さった写真である。日本国内ではまず発生しそうもない西洋マンガ的風貌である。

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シンガポール市の帽振り人(2007年5月/K.Y.氏提供)

 日本国内ではまず発生しそうもない西洋マンガ的風貌である。しかし伝えているメッセージは「ご迷惑をおかけしております」であり、殆ど謝らない西洋の現場とは一線を画したアジア的なものである。手書きで内輪的標語が加えられているのも嬉しい。
 彼の腹の出っ張りとかはともかく、工具を持つ手の小指(?)が立っているのが、無意味に目を引く。

 次の人は、今現在の日本では決して見られないであろう、いい味出しまくりの顔である。ぜひ日本の現場でも、この方に立っていただきたいものである。

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シンガポール市の直立不動人(2010年4月/四国支部長報告)

 顔はともかく体形だけ見ると、フィリピンの人々と同じ人がモデルだろうということは、だいたい見て取れる。これも本記事の一番下を見ていただきたい。

タイの直立人

 この人は、先のシンガポールの場合と同じく、「熱中時間」の視聴者の方から番組宛てに届いた写真とのことである。

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タイ王国の直立人(2007年7月/K.T.氏提供)

 立ち方などは驚くほど日本国内のオジギビト衆に似ているが、顔は日本にもいそうで意外といないような、独特の雰囲気である。「ちびまる子ちゃん」に出てきてもそれほど違和感がない顔立ちだが、顔の左右の構造は、耳たぶや髪の毛のタイ式表現なのだろうか? 非常に目を引く特徴である。

 次の写真の人は、この直立人のすぐ後ろにいたのだが、彼は打って変わって非常に「西洋的」と言わざるを得ない。しかしそれが却って、左の人と好対照を成していると言えよう。

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タイ王国の西洋風の人(2007年7月/K.T.氏提供)

ミャンマーの直立人

 ミャンマーにも、やはり日本のあの人をモデルとしたとおぼしき直立人がいた。

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ミャンマー・マグウェの料金所の人(2017年3月/N.K.氏提供)

 この人は工事現場ではなく、道路の料金所に立っていたとのことである。しかし、現場でもすぐに通用しそうである。
 モデルとなった人はやはり、日本のあの人だろうと思われる。ネクタイなど省かれたり、ボタンが増えたり変化している部分もある一方、特徴的な胸ポケットは、元々の形状を比較的よく残している。

モデルとなったと思われる日本のオジギビト

 そしてこの人が、フィリピン、シンガポール、そしてミャンマーの直立衆のモデルとなっとと思われる、日本の直立不動オジギビトである。タイの人も、もしかするとこの人がモデルなのかもしれない。

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モデルとなったと思われる人(東京都新宿区/1998年5月)

 直立不動の立ち方だけならば、他にもこういう感じの人は数多くいるだろう。しかし胸ポケットの表現などからすると、やはりこの人が参考にされたのだろうな……と思わせる。

 東南アジアでは、この人を始祖として、独自発展を続けているのかもしれない。今は見に行くのはなかなか不可能な情勢だが、いずれ機会があればお会いしたいものである。

【海外オジギビト】中国と韓国の現場で活躍していた人々

 先日は、2006年の台湾・台北市で活躍していた工事現場オジギ衆を紹介した。

ojigibito.hatenablog.com

 今回は大陸の方、すなわち中華人民共和国大韓民国の工事現場で活躍していた人々を紹介したい。(なお、全ての写真は「いただきもの」である。集会所も本部長室も、皆様のご協力で成り立っているのである)

中国・香港の人々

 H.K.氏から、香港の現場(上下水道関連らしい)にいた人の写真をいただいた。とり氏の「街角のオジギビト」にも紹介されている人だが、ポーズは同一ながら服装がやや重厚なものになっている。保護帽とジャケットには、水務署のマークがしっかり入っている。

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香港の人(2012年12月/H.K.氏提供)

 彼のこのポーズにはどのような意味が込められているのであろうか。現地の方々には普通のものなのであろうか。見た感じ、「ご迷惑をおかけしております、どうもすみません」という拝むようなポーズと、「入ってはいけません」という制止のポーズの複合型のように思えるが……。

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香港の人(2010年3月/H.K.氏提供)

 2010年に別の現場で確認された彼は、何か様子が違うと思ったら、目にハイライト(白い点)が入っている。ジャケットなども、ディテールが異なる。基本的な姿勢は同じだが、もしかすると結構な数のバリエーションが、彼には存在するのかもしれない。どうやらこちらの方が、「街角のオジギビト」で紹介された彼に近いようである。

 

 これは不審者侵入に関する警告らしい。泥棒としては大変分かりやすくもクラシカルな覆面をした男が、足場(竹を組んで作られているようである)を使って、隣のビルの窓へ侵入しようとしている様子である。

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香港の泥棒(2012年12月/H.K.氏提供)

 日本にも現場に侵入する不審者を警戒している旨の警告はあるのだが、大抵は「カメラを設置して見ているぞ!」という感じの文章のみで、やや味気ないのが残念である。香港のこの人のような愉快な(?)盗人が、注意喚起の目的で日本の現場にも現れてもいいのではないか……とちょっと思わなくもないのだが、現場としてはこういう人が出る状況自体が、忌むべき事であるというのも、まあ頷ける話ではある。
(だから日本では敢えて味気ない文章で示されているのかもしれない)

 

中国・南京の人

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南京市の人(2019年12月/四国支部長報告)

 日本国内の現場オジギ衆とは明らかに一線を画する、中華人民的現場警告人である。メリハリの効いた陰影の付け方が素晴らしい。それと対象的に極めてシンプルな鼻の表現はどうしたことか?とちょっと思ってしまうが、それもまた彼の個性、魅力と言えよう。
 この人のサイズ、最初に見た時はなぜか勝手に超巨大(数メートル大)なものと思っていたのだが、よく見ると雑草が写真に写り込んでおり、日本や台湾のものと同じくらいの、普通サイズであることが判明した。
 ちなみに撮影時期から察せられる通り、COVID-19の問題が表面化する直前という、絶妙なタイミングでの撮影ということになる。

 

韓国の人々

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大韓民国・慶州氏の人(2006年9月/M.K.氏提供)

 台湾の人々が「漫画調」とすれば、韓国の人はより「アニメ調」と言えるかもしれない。日本にも近い人々はいるかもしれないが、この人は割と容易に、韓国現場衆である事を識別できそうな雰囲気を持っているように思われる。

 なお、JPEG圧縮のノイズがキツいのは、こう言っては何だが、撮影したお方がその辺無頓着……というか知識が乏しかったせいである(他の写真も同様にノイズバリバリ)。氏に代わってお詫びしたい。

 

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大韓民国仁川広域市の人(2006年10月/M.K.氏提供)

 やはりこの人も、日本や台湾の人々と明らかに違う雰囲気がある。なお、一番上の赤い文字は「工事中」、下の文章は「ご通行に迷惑をかけ、申し訳ありません」という意味だそうである。ちなみにこの人が、韓国では最もメジャーな人のようである。

 

 せっかくの機会なので、M.K.氏からいただいた、他の韓国工事現場看板の写真も、ここで出しておきたい。全て2007年5月の撮影で、場所は仁川だったと記憶している。

 一番上の人は、見得切り型と言っても良いだろう。よく見ると指が四本だが、こういう省略的なことは、1975年のアニメ「元祖天才バカボン」とかでも見られたことである。

 二番目の人は、以前紹介した「文字に隠れて」の形である。ちょっと人物が薄すぎないか……と思ってしまうが。

ojigibito.hatenablog.com

 

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韓国の現場看板(2007年5月/M.K.氏提供)

 こうしてみると、韓国の現場もなかなか賑やかである。

 ところでベトナムホーチミン市でも、この韓国の人が活躍していたことが分かっている。

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ベトナムホーチミン市に出張中の彼(2014年3月/H.E.氏提供)

 いずれも内輪型(服装タイプと、安全帯タイプか)に分類できるだろう。

 

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ベトナムホーチミン市の現場で、韓国からの人の隣にいた人々

 これは同じ現場にあった看板とのことである。保護帽があるおかげで安全が保たれ、作業員も妻子も安心……という感じのものである。この人々はちょっと感じが違うが、もしかするとベトナムローカルな人々の可能性も無くはないだろう。

【海外オジギビト】2006年の台北市の現場で活躍していた人々

 ちょうど16年前、すなわち2006年4月の台湾・台北市の現場で遭遇した人々は、オジギビト「モドキ」などではなく、日本と同様のオジギビト衆だった。

 日本国内でも全く違和感なく現場に立つ事ができそうな人々ばかりであるが、多少マンガ的な傾向が強めなのが、台湾オジギビト衆の特徴と言えそうである。日本オジギビト衆の分類を当てはめる事もできなくはないが、ここでは伝えているメッセージで分ける事にしたい。台湾オジギビト衆の場合、その方が分類しやすいようである。

「ご迷惑をおかけしております」

 一番最初の二人は、一般的な直立オジギビトと言えるだろう。日本でこのメッセージを伝える人々は、大抵の場合、直立不動型である。しかし2番目と3番目の人々を見た感じでは、台湾では他にも、いろいろなタイプがいそうな感じである。

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「ご迷惑をおかけしております」

「入ってはいけません」

 日本では主にベンケイ型や見得切り型の人々が伝えているメッセージだが、台湾でも同様に見得切りポーズで進入禁止を示している人がいた。進入禁止の標識(日本のものと同じようである)を指差すのも、オーソドックスな示し方と言えよう。

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「入ってはいけません」

「安全帽を被って下さい」

 1番目と2番目の人は、安全帽を被っているので少々の物が頭の上に降ってきても全く大丈夫な様子を示している。しかし最も右の人は、安全帽を被っていてもかなり痛い目に遭っているようである。

 ちなみに1番目の破れ具合からも見て取れるように、台湾の工事現場の掲示は、板ではなく薄いシートが一般的なようである。16年経過した今はどうだろうか。たぶんシートが使われているとは思うが。

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「安全帽を被って下さい」

西日本でおなじみの彼

 主に西日本で活躍中の人が、台湾でも仕事をしていた。彼は台北市に出張中ということだろうか。もしかすると、彼は台湾出身という可能性もあったりするのだろうか……と、彼に出会った時は思ったものである。

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西日本では良く知られた顔の彼が台北市でも活躍

 しかし、彼の看板は2枚とも薄いシートではなく、ある程度の厚みのある「板」である。このことから察するに、やはり彼は日本から出張してきた可能性がより高そうである。

楽書き被害者

 オジギビト衆の中には、顔に楽書きをされたりすることもあるのは、先の記事でも紹介した通りである。

ojigibito.hatenablog.com

 やはり台北にも、そのような被害に遭った人がいた。立派な緑のヒゲが生えている。

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緑のヒゲを生やされた人

 16年経った今、台湾のオジギビト衆はどんな変化、進化を遂げているだろうか。今はいろいろな事情で、なかなか訪れることも難しい状況であるが、いずれまた台湾のオジギ衆に再会したいものである。まあそうした機会の到来も「巡り合わせ」である。思いがけずそれがやってくるのを待ちたい。

【オジギビト】鉄道系双生児たち

 駅は、オジギビトが最も盛んに活躍している場所の一つである。工事現場に立つ人々もいれば、各種の告知のためにオジギをしている人々(現場外オジギビト)も数多く見られる。 

 今回はJRの駅の工事現場で活躍する、オジギビト衆を紹介したい。どうやら首都圏のJR東日本では、駅員と現場作業員をペアでオジギさせるのが、慣例というか伝統(?)のようである。

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上野駅(2003年)のオジギペア

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品川駅(2004年)のオジギペア

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東京駅(2008年)のオジギペア

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浦和駅(2010年)のオジギペア

 品川駅の保護帽の人と、東京駅の保護帽の人は服装が違うが、同一人物と見て間違いないだろう。
 注目したいのはこれらのペア、いずれの例も、顔が互いに良く似ている事である。上野駅の例など、二人揃って腹話術の人形のような口である。こうした「双子化」とでも呼ぶべき事例は、現場外オジギビト衆の銀行・郵便局系の人々でも見られるものである。それらに関しては、また別の機会に紹介していきたい。

 

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東京駅(2017年10月)のオジギペア

 2017年の東京駅では、これまでよりもぐっと服装のリアル感が増した人々が、表情が全く見えない角度で頭を下げていた。表情は読み取れないものの、姿勢の類似性という点では、双子化現象の一環と読み取ることも可能であろう。

 

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横浜駅近辺(2015年9月)のオジギペア

 向かって左側の人は、上で示した浦和駅などの人と同じだが、右の人はどうやら、左側の人をもとに独自に生み出されたクローンのような気がする。靴と手を除いた、体の輪郭の角張り具合が、そのような印象を濃厚に与える。前髪も適当に増量されたような感が……。

 

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神田駅(2014年1月/北海道支部長報告)の男女オジギペア

 神田駅では、駅員の方が女性になっている例が発見された。顔は互いに似てはいるが、女性の方が多少細めのようである(睫毛も長そう)。やはりこの二人、双子なのだろうか?

 JR東日本では通常、二人一組制を採っているのかと思ったら、単独行動の例もちゃんとあった。それにしてもデジタル感の強い人である(特にズボン)。

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上野駅(2010年9月)の単独行動駅員オジギビト

 ここに挙げた例では上野駅のものが2003年のもので、2020年代に入っても、品川駅や浦和駅などの例と全く同じ人々が確認できている(これらのペアが最も出会う確率が高そうな感じである)。少なくとも20年足らずの間、この駅員&作業員ペア態勢は続いていることになる。
 首都圏JR東日本オジギペアのデビューは、いつ頃なのだろうか。やはり、PCによるデザインや印刷がぐっと簡単になっていった、90年代後半〜末期であろうか。

 一方、JR 西日本では今のところ、単独行動の人が主流の様子。

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京都駅(2016年12月)の単独オジギビト

 一見すると写真のピントが甘いように思えるが、傍らの「J」の青い文字で分かる通り、この人だけがぼやけているのである。この人の元々の解像度の問題と思われるが、どこか別の看板や掲示から、こちらに無理矢理(?)スカウトされてきたのだろうか。

 他の地方のJRでは、双子化現象というかオジギペアは、現在のところ一般的ではない模様。もしもJR東日本、特に首都圏のみの現象だとすれば、その原因は何だろうか……と言うと非常に大げさだが、今後も注目していきたい人々である。

 

【オジギビト】文字に隠れてオジギ

 オジギビトはその存在そのものがメッセージ性を持つものである。しかし、時として自分自身が「背景」となり、伝えるべきメッセージ(=文章)の引き立て役に回る場合もある。今回はそのような例を幾つか紹介したい。

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北海道釧路市城山の背景化オジギビト

 この人は北海道教育大学釧路分校のすぐ近くで発見された。文字の後ろでのオジギにも関わらず、大変理想的なオジギポーズを取っているのはさすがである。文字のせいで見えにくいのだが、なかなかベテラン感のある面構えの様子。

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北海道釧路市大川町の背景化オジギビト

 直立不動姿勢で現場に立つ時の彼は、犬を伴っている場合が多いのだが、文字の後ろに来る時は連れてこないらしい。ちなみにこの公園は旧釧路川の河畔にあるのだが、2011年3月11日の東日本大震災で発生した津波により、水に覆われたとのことである。

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北海道釧路市春湖台の犬を連れた彼

 これは犬を連れた彼。彼だけの例ももちろんある。また、犬は同じだが全く別の人に入れ替わっている場合もある。それらに関してはまた機会があれば紹介したい。

 

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京都府京都市下京区西橋詰町の背景化オジギビト

 文字に隠れているせいで、この人がどんな目をしているのか殆ど分からなかったのだが、彼その人と思われる看板が、京都市北区上賀茂で確認された。やはりシンプルに閉じていた。

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京都市北区上賀茂で確認された彼

 

 次の例は、北海道釧路市春採の交番近辺で確認された例である。(ちなみにその交番、とある理由で閉鎖……あの近辺の防犯は大丈夫だろうか)

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北海道釧路市春採の背景化オジギビト

「御協力願います。」の句点が偶然左目の上にあるため、最初はなかなか不気味な目つきの人だと思ってしまった。全体的には今風のスタンダードな感じの人である。
 首の後ろ側に見える黄色いものとその下の黒いものは何だろうかと少々考えてしまったが、長い髪を何か黄色いもので縛っているのかもしれない。

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兵庫県神戸市三ノ宮駅構内(N.M.氏提供)

 この人は全てのオジギビト衆の中でもかなり上位に入るであろう、可愛いオジギビトと言えよう。文字に隠れていない状態のこの人を、是非見てみたいものである。

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京都府京都市左京区岩倉西河原町の背景化和服オジギビト

 現場用具や資材などの保管場所にいた、和服オジギビトである。着物の柄や表情などからして、この人は女性らしい。近年の女性オジギビトの現場進出は着実に進んでいるが、このような形態のオジギは大変珍しい。京都ならではという事なのだろうか。

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東京都大田区西糀谷(2013年9月)の背景化オジギビト

 これまでの、文字に隠れている人々の中では、最も頭身が低い人である。その分、顔の造形など可愛さも増大しているわけであるが。
 保護帽が頭にぴったりし過ぎているせいか、あまり硬そうではないように見えるのが、現場の人としては難と言えば難であろうか。しかしまあ、この点も含めてカワイイのでその点は許される事であろう。

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石川県金沢市南町(2016年9月)の背景化オジギビト

 背景化オジギビトは、淡い色彩あるいは半透明化しつつ、文字メッセージのために敢えて自らの存在感を多少減じる傾向があるが、この人はそうでもないようである。その代わり、文字が白く縁どられており、メッセージの方がオジギビトに配慮した形となっている。
 一見かなりの巨頭のように思えるが、よくよく見ると顔自体の輪郭は身体よりも若干幅広なだけで留まっている。

 次の例は、全体が文字で覆われているのではなく、身体の前にオジギ定型句がシンプルに配置されているものである。「文字に隠れて」というのとはやや異なるが、デザインの狙い、思想的な点としては同じベクトルであろうと思われるので、ここで紹介することにしたい。

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京都府京都市下京区(2017年10月)の背景化オジギビト

 この人はシンプルめではあるが、意外と陰影処理的な点で注意が払われているな……というのが、第一印象であった。また、「ご迷惑をお掛け致します。」の文字も、オジギビトに被せることを前提としているためか、ちゃんと白い縁取りがなされている。

 次の例は、札幌市内で確認された、明らかに人間以外のキャラである。

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北海道札幌市(2007年10月)の背景化擬人化道路(?)オジギビト

 鼻の位置と口の下にある白線は、もしかして道路に描かれている白破線であろうか。とするとこの「顔」は道路で、直立した道路表面に目と口、手足が付いているという事になるのだろうか。この「顔」が直立した道路だとすると、横から見ると平べったい板状という事に? しかし保護帽は普通の円断面のものなのだろうか? 興味は尽きない。

 それにしても、(少なくとも今回紹介した人々には)全般に文字がちょっと被り過ぎではないかと思う。しかしメッセージの裏側に控える「背景」としての役目を担わされた以上、オジギビトたちからすると、むしろ「そうでなくてはならない」のだろう。