駅は、オジギビトが最も盛んに活躍している場所の一つである。工事現場に立つ人々もいれば、各種の告知のためにオジギをしている人々(現場外オジギビト)も数多く見られる。
今回はJRの駅の工事現場で活躍する、オジギビト衆を紹介したい。どうやら首都圏のJR東日本では、駅員と現場作業員をペアでオジギさせるのが、慣例というか伝統(?)のようである。
品川駅の保護帽の人と、東京駅の保護帽の人は服装が違うが、同一人物と見て間違いないだろう。
注目したいのはこれらのペア、いずれの例も、顔が互いに良く似ている事である。上野駅の例など、二人揃って腹話術の人形のような口である。こうした「双子化」とでも呼ぶべき事例は、現場外オジギビト衆の銀行・郵便局系の人々でも見られるものである。それらに関しては、また別の機会に紹介していきたい。
2017年の東京駅では、これまでよりもぐっと服装のリアル感が増した人々が、表情が全く見えない角度で頭を下げていた。表情は読み取れないものの、姿勢の類似性という点では、双子化現象の一環と読み取ることも可能であろう。
向かって左側の人は、上で示した浦和駅などの人と同じだが、右の人はどうやら、左側の人をもとに独自に生み出されたクローンのような気がする。靴と手を除いた、体の輪郭の角張り具合が、そのような印象を濃厚に与える。前髪も適当に増量されたような感が……。
神田駅では、駅員の方が女性になっている例が発見された。顔は互いに似てはいるが、女性の方が多少細めのようである(睫毛も長そう)。やはりこの二人、双子なのだろうか?
JR東日本では通常、二人一組制を採っているのかと思ったら、単独行動の例もちゃんとあった。それにしてもデジタル感の強い人である(特にズボン)。
ここに挙げた例では上野駅のものが2003年のもので、2020年代に入っても、品川駅や浦和駅などの例と全く同じ人々が確認できている(これらのペアが最も出会う確率が高そうな感じである)。少なくとも20年足らずの間、この駅員&作業員ペア態勢は続いていることになる。
首都圏JR東日本オジギペアのデビューは、いつ頃なのだろうか。やはり、PCによるデザインや印刷がぐっと簡単になっていった、90年代後半〜末期であろうか。
一方、JR 西日本では今のところ、単独行動の人が主流の様子。
一見すると写真のピントが甘いように思えるが、傍らの「J」の青い文字で分かる通り、この人だけがぼやけているのである。この人の元々の解像度の問題と思われるが、どこか別の看板や掲示から、こちらに無理矢理(?)スカウトされてきたのだろうか。
他の地方のJRでは、双子化現象というかオジギペアは、現在のところ一般的ではない模様。もしもJR東日本、特に首都圏のみの現象だとすれば、その原因は何だろうか……と言うと非常に大げさだが、今後も注目していきたい人々である。