オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ

【オジギビト】余白の意味

 先日は、「控えめに佇む人々」という括りで、看板に比べて非常に小サイズなオジギビトの例を紹介した。

ojigibito.hatenablog.com

 その逆の、存在感が非常に大きい人々の例を紹介する前に、周囲に大きな「余白」を伴った人々について、少々紹介しておきたい。

東京都渋谷区 東急百貨店渋谷駅・東横店内の人(2008年3月/Y.T.氏提供)

 東急百貨店内にいた、三菱電機ビルテクノサービスの人である。この人がいるということは、店内でエレベーターやエスカレーター関係の工事が、行われていることになる。

 この人の配置について、ややアンバランスというか「もう少し中央寄りにして、大きくできたのでは?」と思われる方もいるかもしれない。しかし、次の写真を見ると、こういうレイアウトにした理由が分かる。

東京都渋谷区 東急百貨店渋谷駅・東横店内、エレベーターのドア上の人(2008年3月/Y.T.氏提供)

 このレイアウトは、エレベーターのドアの上に掲示することを、考慮したものだったわけである。下の「TOKYU」の赤い文字も、それを考慮して右側に寄せられている。しかしそのせいで、この三菱電機ビルテクノサービス専属のオジギビトの頭上には、結構大きな余白が発生してしまった、と。

 しかし再度よく見てみると、この「ドア貼り専用版」と、一番最初に出した「通常版」では、赤枠下側の「TOKYU」のロゴの位置だけでなく、このオジギビトの位置自体も、少しだけ調整されているようである。「お客様のご理解とご協力をお願いします。」の文言との距離が、「ドア貼り専用版」の方が近くなっている。

 そうすると、この掲示は最初から、ドアに縦割り二分割で貼ることを最初から想定していたと考える方が、自然かもしれない。そのため、このようなレイアウトになったわけである。だとすると、「通常版」(最初の写真)の方が、むしろおまけ的というか「派生型」ということになる。「通常(派生)版」を作るときに、「TOKYU」のロゴとオジギビトの位置は調整したが、オジギビトのサイズなどに関しては考慮されなかった……と考えるのが妥当だろうか。

 

 もう一つ、余白が目立つ例を。

京都府京都市左京区岡崎徳成町の人(2017年12月)

 三井ホームの現場で、以前からおなじみの「こんにちは」運動の人の隣でオジギ姿勢を取る人である。彼自身はその表情とオジギ姿勢(上半身のみだが……)から、非常に誠実、真面目にメッセージを発している。しかしやはり目を惹く……というか気になるのは、彼の周囲の余白である。
 しかしこの余白を埋めようとして、彼の下方にあるQRコードや補足的警告などを再配置するというのも、あまり良くないのかもしれない。この場合、余白があるからこそ、彼の存在とメッセージが映えている……ように見える。

 ちなみに「こんにちは」運動の人は、下の写真の人である(別の現場の写真であるが)。

京都府京都市左京区岩倉のこんにちは運動の人(2009年9月)

 この人、あの有名な"TEZUKA PRODUCTION"の人(次の写真)に、ちょっと(かなり?)似たところがあるのは、以前からオジギビトに興味を持っていた方なら、既にお気付きだろう。

東京都千代田区神田の"TEZUKA PRODUCTION"の人(2004年5月)

 まあ、この場合は「大まかなモデル」ということで良いのではと思う。

 ただ、この"TEZUKA PRODUCTION"の人、少なくとも90年代から全国的に活躍する有名人であり、しかも比較的「真似しやすい」感じの人でもあるので、手書き看板のモデルになったと思われる例も幾つかある。その一例は、とり・みき氏の「街角のオジギビト」でも、「ラフ」という記事名で紹介されている(「ラフ」というところから、大体の感じが想像できるかと)。

 それらに関しても、またいずれ紹介してみたい。