オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ

【現場外オジギビト】北海道の小売店などの人々(1)

 これまで現場外オジギビト衆に関しては、飲食店と銀行・郵便局の人々について紹介してきた。

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 今回は、小売店など各種サービス業のオジギビト衆を紹介してみたい。しかしこのカテゴリー、交通系の人々と同様になかなかの人数が確認されているので、まずは北海道の人々を何回かに分けて紹介していくことにする。

 

 下の写真は、2006年に釧路市のイオンでオジギしていた人である。

北海道釧路市昭和・イオンモール釧路昭和の万引き防止の人(2006年4月/北海道支部長報告)

 万引き防止用のアラームに関して、告知している女性である。彼女がこの場で頭を下げる事によって、誤ってアラームが過敏反応してしまった人の心も和むというものである。(万引き犯はそういう気にはなれないだろうが)

 そして次も2006年、イオンモール釧路昭和の人である。

北海道釧路市昭和・イオンモール釧路昭和の告知人(2006年10月/北海道支部長報告)

 上の万引き警報の人とは違う女性である。高めの頭身は、他の現場外女性オジギビトにも見られる傾向である。「新しい店舗」に(仲間)とわざわざ付けたのは、予告文にちょっと巧い一味を加えたかったからだろうか。

 

 

 次の例は小売店ではなく「便利屋」の人である。

北海道札幌市・便利屋の人(2007年10月)

 便利屋の人ではあるが、緑十字の入った保護帽を持っている。顔の造形の単純さに反比例するような、ズボンのしわのリアルさが目を引く。髪は豊かというか、伸ばしすぎの感がある。ちなみに彼を一目見て、「チャラ男」という第一印象を持った方もいた。(但しオジギビトとしてのデザイン自体は問題ない、というかむしろ良い方だと思う)

 こういう風に書くと、彼のイメージはあまりよろしくない感じだが、もちろん便利屋さん自体には別に何の問題もないと思う。

 

 次は釧路市コープさっぽろの中で活躍していた人である。コープさっぽろ内の「阿部蒲鉾店」販売現場(?)に立っていた、「おいしさ謝罪オジギビト」である。

北海道釧路市貝塚コープさっぽろ貝塚店のあべかまの人(2008年7月/北海道支部長報告)

 オジギ理由が、食品関係ならではのものである。しかし服装は明らかに、工事現場向けである。

 輪郭の腐り具合(背景の消し残しと思しき白い粒々も見える)、全体のぼけ具合と保護帽正面マークの鮮明さが、どこかの現場の写真などからの「借用感」を大いに演出している。保護帽の「大吉」という文字だけが、異様にくっきりしている。

 

 家電量販店でも、オジギビトの活動は見られる。次の例は釧路市内のヤマダデンキのものである。

北海道釧路市・YAMADA釧路店の人(2013年1月/北海道支部長報告)

 ヤマダデンキ家電住まいる館YAMADA釧路店で、返品と交換についてアナウンスしていた女性オジギビトである。結構カッコイイ服を着ているな、というのが第一印象であった。実に理想的な直立不動オジギ姿勢である。

 

 他の現場外のカテゴリーと同じく、やはり小売店方面でも、女性の活躍が目立つ。道内で確認された小売店オジギビト衆の続きは、また近日中にということにしたい。

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【現場外オジギビト】銀行・郵便局の人々

 先日は、飲食店で活躍する現場外オジギビト衆について紹介した。

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 今回は、銀行や郵便局で活躍するオジギビト衆を、紹介したい。やや古い例ばかりだが、その辺は何とぞご容赦いただけると幸いである。

 

 まずは郵便局の人々から見てみよう。以下の写真は、鳥取県の三朝郵便局の例である。

鳥取県東伯郡三朝町・三朝郵便局の人々(2008年12月)

 年始のATM休止を案内する、ゆうちょ銀行オジギ男女である。告知全体に合わせたモノトーンであるが、全体の雰囲気にマッチしており、存在感もしっかりあるオジギビトペアである。

 

富山県富山市桜橋通り・富山中央郵便局の人々(2014年9月)

 富山中央局の外壁工事の白壁で、オジギしていた郵便局員オジギビトである。この人々、8年程度経過した現在でも、郵便局で広く活躍している様子である。

 

鳥取県東伯郡三朝町・山陰合同銀行ATMの人々(2003年4月)

 町役場の前のATMコーナーでオジギしていた、山陰合同銀行行員の男女ペアである。顔がそっくり…というよりは全く同じである。双子であろうか。

 

東京都新宿区新宿三丁目りそな銀行内の人々(2008年5月/Y.T.様提供)

 りそなの行員の人々も、ゴールデンウィーク中のサービスに関して頭を下げていた。このオジギ衆三名だけだと、何となく「お堅い」感じで、ちょっと冷淡な感じがしないでもない。

 しかし顔を上げている人々(営業日を示している)の顔を見ると、非常にシンプルで親しみやすい顔をしている様子である(この写真では小さ過ぎて分からないが……)。

 

 次の例は、ATMの画面上でオジギしている人である。

北海道釧路郡釧路町・イオン釧路店 日専連ATMの人(2013年3月/北海道支部長報告)

 日専連の機械の画面でオジギしていた女性との事である。北海道支部長は「ちょっと不気味」との感想(無論、独特のカワイさというか魅力はあるのだが……同意したくなる気も少々)。

 個人的には全体の感じが、80年代の解像度や色数が極めて限定されたパソコンで描かれたCGという印象で、大変好感が持てる。特に、肌の表現がタイリングペイントというのが素晴らしい。この機械では、敢えて色数を極限まで絞ったのだろうか(多分、白黒入れて8色くらい)。

GIFアニメで再現

 旧オジギビト集会所で紹介していた時は、上のようなGIFアニメを使っていた。せっかくなので(?)、ここでも貼り付けておきたい。

 

北海道釧路市・イオン釧路昭和店 釧路信金の人( 2014年10月/北海道支部長報告)

 ATMサービスの臨時休止を知らせている、女性オジギビトである。腹部で手を合わせるオジギ姿は、時として腹痛を覚えているようなポーズに見える事があるが、彼女の場合その表情も相まって、「腹痛感」をやや強く見る者に与えているようである。それでなくとも、ちょっと幸薄そうな感じがするのに……。

 

 最近は銀行やATM自体をあまり利用しないせいか、これらの金融オジギビト衆もちょっとご無沙汰の感がある(ゆうちょ銀行はたまに使うが)。ちょうど今はGWということで、敢えて臨時休止しているATMなどを回ってみるのも、また一興かもしれない。

【オジギビト】ほんの少しだけ斜に構える?

 直立不動オジギビトの最もスタンダードな形は、真っ正面から彼らを見る形になっているものである。この場合、オジギビトの視線は、深いオジギ姿勢だと真正面、やや前方に向けられることになる。

 しかしオジギビトの中には、オジギしつつも何故か視線が別の方向に向いている人もいたりする。今回は、そうした人々の例を少々紹介したい。

 

静岡県静岡市駿河区駿河区役所近辺の人(2008年7月/東海支部長報告)

 非常に体格の良いオジギビトである。上半身の逞しさに反比例した、下半身の先細りぶりが実に好印象である。それは良いのだが、やはり彼の顔の向きに目が行ってしまう。
 彼の身体と保護帽はきちんと正面を向いているが、顔はやや左を向いている。ちゃんと左耳も、頭の輪郭に隠れ気味になっている。通行人に対して頭を下げる事に対して、彼なりに何か思うところがあるのだろうか。
 一つ考えられるのが、彼をデザインした人が、この鼻の形にかなりこだわりを持っていた、という可能性である。少し首を振り気味にしなければこういう形には描けないので、敢えて……というのは、考えすぎであろうか。

 

京都府京都市左京区東丸太町の人(2010年10月)

 今風のシンプルで整ったオジギビトである。彼もまた、身体と安全帽は真っ正面を向いているのだが、顔はほんの僅かながら左を向いている。「ふ……」とか顔の横に書き加えても、違和感がなさそうな人である。彼の場合は、鼻がオミットされているので、静岡市の例のような解釈は不可能である。顔パーツ(目と口)の、ちょっとした配置の具合による偶発的なものであろうか?
 この看板全体を見てもう一つ注目すべき点は、彼の横にあるメッセージである。文字がところどころズレている、というより、文字列が明らかに波打っている。「気をつけて」の「を」や、「しばらく」の「く」が、ずれとしてはっきり分かりやすいであろうか。一文字ずつ活字を組み合わせて作った感が濃厚である(その点で今時の看板としては結構珍しいかも?)

 

東京都大田区の人(2017年12月)

 この人は全国的に活躍していると思われる、非常に可愛らしいオジギビトである。しかし、何ゆえ彼の下半身は、少々左の方を向いているのか。左手が身体の背後、右手が前に出ている事からも、彼の身体がやや捻られている事は明白である。足を見ると、やはり右足の方が僅かに前に出ている感じである(靴が少しだけ大きく見える)。

 小中学生、特に低学年の小学生などは、気をつけの姿勢を取ろうとしても、何故かどこかが必ず歪んだり曲がったりしている場合がしばしばあるが、彼の場合もそれと似通った現象なのかもしれない。現場作業者としては異様に幼い顔だし……。

鳥取県鳥取市安長の彼(2009年/K.Y.氏提供)

 これは作業をしていない事を示している、彼の姿である(画像がちょっと悪いのはご容赦いただければ……)。彼の背丈はコーンよりも少しばかり高いくらいであるが、これが通常よく見る大きさのコーンだとすると……やはり彼は幼児なのか??

 作業をしている事を示している例は数多い、というよりそちらがオジギビト衆の通常業務であるが、していない事を示している例は、それらに比べるとやはり多くないように思える。

 

【現場外オジギビト】飲食店の人々

 オジギビトは、工事現場だけにいるわけではない。駅や飲食店、病院や小売店など、至る所に存在し、日々頭を下げ続けているのである。

 今回はその中から、飲食店で活動する現場外オジギビトの例を紹介したい。

回転寿司の人

東京都練馬区すしおんどの人(2008年5月/Y.T.様提供)

 回転寿司店内で頭を下げているオジギ店員である。この人のオジギ姿、問い掛ければ「以前は現場にいました」という答えが返ってきそうな、大変整ったものであると言えよう。
 ところで、回転寿司店で流れている物をタッパー等に入れて持ち帰る人というのは、意外と多いのだろうか。

ファミレスの人

京都府京都市北区大宮南田尻町・ガストの人 (2013年4月)

 カプセルトイの販売機の上で、「ガストコイン」が使用不可能である事を知らせている、児童オジギビトである。左京区のガストでもこの児童は見かけたので、ガスト専属のオジギ児童であった可能性が高い。
 長い長い睫毛に加えて、極端に短い腕が、彼の可愛らしさを倍増させているようである。

焼肉店の人

京都府京都市北区焼肉店の人 (2013年4月)

 焼肉店オジギビトである。こういう一種独特の味を持つ人は、もはや今現在の工事現場オジギ衆の中には、ちょっと現れにくい気がする。手描き感濃厚なのに加えて、ある意味アーティスティックとも言える全体の造形は、商売関連のオジギビトならではのものであると言えよう。やはり、お店の方によって生み出された人なのであろうか? 細めた目のみの顔が、見れば見るほど何とも言えない「味」である。

ビアガーデンの人

北海道札幌市中央区・ビアガーテンの人(2016年8月/北海道支部長報告)

 札幌駅前のビアガーデンで、通路の誘導をしているオジギ女性である。袖にはしっかり、銀座ライオンのマークが入っている。

日本料理店の人(LA)

アメリカ合衆国ロサンゼルス市・日本料理店の人(2019年12月/N.M.氏提供)

 寿司と酒、そして小皿(小料理)を出す、日本料理店「ハヤマ」のオジギビトである。目鼻口も頭髪もない、完全のっぺらぼうの人である。唯一のオプションは、ヒゲ的な黒い物体である。黒くて四角い形からすると、もしかしてこれはメガネかサングラスか?とも思ったのだが、どちらであろうか。しかしメガネの場合、彼はこちらに向かって頭頂部を見せていることになるのか……。

 現場外オジギビト衆は、現場の人々にも劣らない賑やかさである。Wixに移設したオジギビト集会所では、これら現場外の人々はレギュラー(?)紹介の枠から外れることとなったが、少しずつこちらで紹介していきたい。

【オジギビト】立体発光オジギビト

 オジギビトは伝統的に、二次元の人である。しかし近年、三次元すなわち立体化した姿で現場に立つ人が出てきたことは、ご存じの方もおられるだろう。しかも夜間には発光し、現場を明るく照らす役割も担っているのである。

 下の写真は、2006年9月に、島根県松江市で確認された、立体発光オジギビトである。

島根県松江市嫁島町の立体発光オジギビト(2006年9月/M集会所運営委員報告)

どうやら彼は、電灯が仕込まれた風船のようである。彼の仕草はオジギというよりは、手を洗っているように見える(あるいは何かを持っているか)。異様な足の短さも気になるところだが、カワイイので問題無し(?)である。支柱には「ライトボーイ」と書かれていたとのことで、彼はその名の通り現場の照明と、通行人への陳謝の二つの役割を果たしている。実際、現場は非常に明るく照らし出されていたとのことである
 ちなみに彼の右側には、板を人の形に切って塗装した、従来型のいわゆる「レプリカント」もいた模様。しかし彼に薄ぼんやりと照らされるのみで、その存在感は極めて希薄である。

 

 2007年12月8日付の日本経済新聞「暮らしサプライズ」という記事の中で、この立体発光オジギビトが紹介された。東京都新宿区の現場を照らす彼が、かなり大きなカラー写真(ページの1/5-6位?)で紹介されていたのだが、これはオジギビト衆の中では稀に見る破格の扱いではなかろうか。作業員の方々との対比では、彼の身長(頭から爪先まで)は80-90センチほどと推定できる(本部長はこの時点で、自分の目では確認していなかった)。
 道路建設を主な事業内容とする「大成ロテック」東京営業所の方のコメントが添えられていたところからすると、どうやら彼は日本最初のオジギビトと言われる大成建設の「安全坊や」と非常に近縁……というよりは安全坊や立体発光版らしい。さすが本家という他ない。安全坊やについては、先日紹介したのでそちらを参照されたい。

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 07年11-12月に米子市鳥取県西部)、08年5〜6月に鳥取市鳥取県東部)で、複数の方々から彼の目撃報告がされていたのだが、本部長はさまざまな理由で彼に会う事ができずにいた。

 しかしとうとう、2008年11月25日午前10時頃、釧路市内で彼の活躍振りをじかに見る事ができた。

北海道釧路市新橋大通4のライトボーイ(2008年11月)

 大同工業株式会社の道路工事現場で、彼は普通のオジギビトではまずあり得ないほどの高い所でオジギしていた。地上から彼の足もとまでは、5〜6メートル程度だろうか。
 非常に慌ただしい条件での出会いだったが、とにかく彼との出会いを果たすことができ、実に感慨無量であった。次回はもう少し落ち着いた条件で会いたいものである。できれば、鳥取市内で同じ現場に出現したという立体発光労働動物(パンダらしい)も一緒のところを。

 下の写真は、09年2月下旬に提供されたものである。

千葉県千葉市美浜区真砂・千葉西警察署付近のライトボーイ(2009年2月/H.T.氏提供)

 保護帽の緑十字が、日本道路株式会社のマークに置き換えられている。この発見により、彼が大成ロテック系列以外の企業の現場でも、各々の会社の「専属」として働いている事がより確実となった。

 そしてやがて、当然の成り行きと言うべきか、立体発光オジギビト界にも新人が登場するわけである。

京都府京都市西京区大枝沓掛町・京都市立芸大付近の立体オジギビト(2012年12月/S.S.氏提供)

 12年末頃に、京都市立芸大付近に出現した、女性と思しき立体オジギビトである。昨今のゆるキャラ(特に女の子)にも共通するような、大変可愛らしい人である。
 この現場がどこの企業のものだったのかは不明であり、本部長も直接見に行こうと思いつつ遂に果たせなかったのは大変残念であるが、道路工事の現場であったことはどうやら確かのようである。

 ところで、この立体発光オジギビトが、逆に「二次元化」したのでは?と思われる例もある。

兵庫県神戸市東灘区田中町の平面化ライトボーイ(2008年10月)

 トラックの荷台の上でオジギする彼を一目見て「もしやあのライトボーイか?」と即座に思った。服装は違うが、二頭身、シンプルな顔、手の仕草、そして特徴的な足と、同一と言ってしまっても問題ないほどである。これは全くの偶然なのであろうか。

 

 下の写真は、労働動物にカテゴライズされる、立体発光カタツムリである。

千葉県柏市の立体発光カタツムリ(2010年2月/H.T.氏提供)

 工事の状況、施工者などは不明である。「お立ち台」部分がオジギビトと恐らく共通と見られるので、この発光生物も大成系列の「由緒正しい」現場警告衆の一員かもしれない。
 仲間としては、以前パンダの目撃例が寄せられていたが、残念ながら実際に確認できていない。まあ、いずれそのうち、出会うこともあるだろう。

「お立ち台」部分だけが夜間の照明として使用されている例も、幾つかの現場で確認されている。もしかして、「お立ち台だけ」の方が需要があるのだろうか。まあ余裕があれば(?)、その上にライトボーイやガール、または動物たちを載せてあげてほしいものである。

【オジギビト】安全坊や 〜最初のオジギビト〜

 今回は、満を持してというわけでもないが、どこかの時点で必ず紹介しなければならない人について、例によって写真がちょっと小さめだが紹介したい。

安全坊や(初代)

 彼こそ、とり・みき氏の調査によって日本最初のオジギビトではないかと推定されている、大成建設の「安全坊や」である。

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茨城県つくば市吾妻の初代安全坊や・直立不動姿勢(1997年)

 詳細は「街角のオジギビト」内のコラム、「オジギビトの発生」(122‐124ページ)に譲るが、「坊や」と言いつつも実は1964年の東京オリンピック前に生まれたオジギビトで、この写真の撮影当時でも既に大ベテランである。脚の黄色と黒の縞々は、工事現場対応のカラーリングなのであろうが、実はゲートルとのことである。

 1993年に二代目が登場してもしばらくの間、こうして現役で現場に立っていた初代安全坊やだが、もはやこの初代坊やはどこにも見かけられなくなった。恐らく97‐98年あたりが、最後の活動期だったのではなかろうか。本部長はこれを最後に、初代坊やに出会っていない。

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茨城県つくば市吾妻の初代安全坊や・見得切り姿勢(1997年)

 見得切り型の初代安全坊やも、同じ現場で活躍していた。見得切りポーズの安全坊やは、オジギビト集会所のバナーの参考になっている。

 

安全坊や(二代目)

 下の写真は、1993年から登場した、二代目の安全坊やである。

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東京都新宿区の二代目安全坊や(1998年)

 顔の造形は初代とそっくり、というか同一人物と言ってもよさそうな感じであるが、服装は現代的なものに大幅アップデートされている。しかし反面、彩りは完全に抑制され、モノトーンになっている。このポーズの二代目坊やが、恐らく最もよく現場で目撃されているものではなかろうか。

 

 これは羽田空港で発見された例である。見ての通りの、どこかからコピーしてきたとおぼしき、デジタルな輪郭である。

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東京都大田区羽田空港の二代目安全坊や(2007年)

 しかしかな~り、「低解像度」である。ちょっと細めになっているのもまあ、ご愛嬌か。

 

 これは保護帽の縁を指で掴み、帽子を取ろうとしているかのようなポーズを取る、二代目坊やである。

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高知県高知市の二代目安全坊や(2008年)

 いつものポーズの時と比較すると、ベルトに差異が見られるが、これだけでも結構印象が違うものである。

 

 デビューして20年も経つと、さすがにこのモノトーン服装にも飽きたのか(?)、色違いの服を着た二代目坊やが見られるようになった。それが下の例である。

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京都府京都市左京区田中里ノ内町の二代目安全坊や(2013年)

 しかし、個人的にはベルトほど「あっ違う!」とは感じなかった。お馴染みのポーズだからだろうか。しかし実は、左手が右手の上になっているという、割とさりげなくも「あれっ!?」と思わせる変化が……。単に「裏焼き」なだけかもしれないが。

 

 四半世紀以上も経ち、二代目坊やにもようやく(?)、カラー化と仕草のバリエーションが出てきたようである。

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福岡県福岡市博多区博多駅前の二代目安全坊や(2019年9月)

 博多駅前で目を閉じてオジギするカラー化安全坊やである。大成・佐藤・森本・三軌・西光JV(ジョイント・ベンチャー)による工事で、安全帽のマークはJVであることを示している。

 

 二代目坊やが登場してもう30年近く経つことになるが、初代が東京オリンピック前から少なくとも90年代後半まで活躍していたことを考えると、二代目安全坊やもそれくらいは活躍しそうである。

 三代目はまだ出てきていないようだが、もしかするとそろそろデビューということもあるかも……と、ちょっと期待したりもする。その一方で、どこかで限定的にでも初代の復活的なことはないだろうか、と思うことも。昨年の東京オリンピックの時が、ちょうどメモリアル的に良いタイミングだったのだが……。

 

【オジギビト】子供(と思われる)直立不動オジギビト

 今回は、直立不動オジギビトの中から、とり・みき氏の「街角のオジギビト」1-06(20ページ)で紹介されているオジギビトを紹介したい。とり氏は「子供」としているが、時間が経つにつれて、だんだん「成長」らしき変化をしている彼(あるいはそっくりさん?)も見られるようになってきた。

 ちなみにこの人の重要な(?)特徴の、「眼の下の三本線」について、とり氏は「媚びているようでいやらしい」との感想を述べておられた。残念な事(?)だが、この三本線を生やしているオジギビトは、他にも幾らかいる。

 

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茨城県つくば市東新井の人(1999年)

 集会所本部長が初めて彼に出会ったのは、つくば市内の現場の前であった。確かにぱっと見子供だなぁ……と、改めて見るとやはりそう思ってしまう。

 彼と出会うことはその後しばらく無かったのだが、10年ほど経ったある日、京都市内の金山工務店の現場で、AED設置を示している彼に出会うことができた。

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京都府京都市上京区の人(2009年)

 この場合の彼のオジギの理由は、「緊急の際は声をかけてください」であって、オジギビトの基本業務である通行人への陳謝ではない。
 上の例との間には十年の時間的隔たりがある。しかし彼は相変わらず子供のまま。オジギビト界も、(一部の)漫画界と同様の時間システムを持っている事を、数値で実感させられる例である。

 別の現場で出会った子供の彼は、目鼻口、そして目の下の三本線が少々太くなっていた。

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京都府京都市中京区の人(2010年1月)

 線が少々太いだけとはいえ、だんだん別人の顔へ変化しているかのような錯覚を受ける。

 次の例は、さらなる変化をした彼である。但し、上の二例よりも、多少時間を遡っている。

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北海道札幌市北海道大学構内の人 (2002年3月)

 見ての通り、ちょっと頬がふっくらした彼である。彼は02年の3月頃に北大で出会ったので、別にこの変化が上の3例からの単純な「加齢」というわけではない。既に、同時並行的にちょっとふっくらバージョンの彼も存在していたことになる。オジギビト界の時間変化(加齢による外見変化)は、単一かつ一直線の時間軸上で行われるわけではない、ということを示しているのかもしれない。

 

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愛知県西春町名古屋芸術大学構内の人(2005年9月/東海支部長報告)

 名古屋芸大で確認された彼は、全体の感じからは明らかに「子供」なのだが、顔はもはや別人と言っても良いだろう。いや、実際に別人なのかもしれない。同一人物だとすると、目の下の三本線が無かったり鼻が高く(?)なっているのは、これもまた加齢の証拠なのだろうか。
 これまでの三例で分かる通り、どうやら彼は東海興業株式会社に籍を置いているようである。

 

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東京都千代田区神田の人 (2017年12月)

 長谷工リフォームの現場で、服装を変えて活動していた彼である。目の下の三本線など、基本的な要素は紛れもなく彼なのだが、顔の輪郭や口のカーブ、耳たぶの形状など、幾つかの部分で微妙な差異が生じている。やはり、それなりに年月を経た事に起因しているのであろうか。

 この「子供」の人、今後どのような変化(加齢?)をしていくのか、気長に注目したいものである。

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