小奇麗にまとまってはいるがどこか物足りなさを覚えさせるオジギビトが多くなった、昨今の工事現場……。しかし2009年5月、鳥取県鳥取市行徳の現場で、穴吹工務店が風穴を開けるような素晴らしい企画を行っていたので、やや古い例ではあるがここで紹介したい。小学生児童による「安全衛生児童ポスター」である。
※ 児童の名前と年齢は伏せさせていただいた。
これらは共に山口県下関市の男子児童の作品である。上の作品は程よいシンプルさが好印象である。一方、下の作品は子供特有の頭身を持つ作業員を中心に据えた、なかなか大胆な色使いの作品である。「ぶじにかえってね」というメッセージが実に心温まる。
これらは山口県山口市の女子児童の作品である。ビルのてっぺんに作業員、ビルの前に通行人、絵の右上に「あんぜんだいいち」という、かなり似通った構成のポスターである。もしかして同じ学校、同じクラスで、相談して描いたのだろうか? しかし単に基本的な構成が似通っているだけのことで、背景やビル周辺の描き込みなどはそれぞれのオリジナリティを出している。
ところで、作業員の方々は、高い建物を建てたら、これらの絵のようにてっぺんに立ちたくなるものだろうか。個人的にはその気持ちは分からなくもない。
これは岡山県岡山市の男子児童の作品である。上の4作品を描いた児童たちよりも少しだけ年長のせいか、かなり技巧に優れた作品である。人物には何か参考にしたモデル(マンガとかアニメとか)があるのだろうか? だとすれば、個人的には少々複雑な気分である。何かを参考に……というのは同時期に経験がないわけではないが、できれば他の子達のような、子供らしさ溢れるある意味「プリミティブ」な作業員を描いて欲しかった。せっかく技術があるのだから……。
他の日本各地の工務店で、恐らく同様の企画が今も行われているのだろう……とは思うのだが、意外と同種の企画に出会う機会がない(個人的には)。単に巡り合わせの問題であろうか。あまり積極的に探そうとすると、この種のものは(偶然の出会いの確率という意味で)逃げて行ってしまうものなのかもしれない。