今回は、オジギビト衆の中でもそれなりの数がいそうな、上半身のみでオジギしている人を一例、紹介したい。上半身のみというのは、看板デザイン上の事なので特に問題ない。しかし下の写真の人は、よく見ると……というより、ぱっと見ですぐに奇妙な点に気付くだろう。
少し扁平とは思うが、何とか被れそうな(ちょっと小さいか?)保護帽を持っている人である。左の耳たぶの、なかなかの立派さが目を引く。しかし一方、右の耳たぶはというと……無い。何かの事故で失われたのか、あるいはぴたりと閉じている状態なのか(そういう特技を持っている人もいるらしいが……)。
この写真を戴いた後、自分でも彼と出会う機会が何度かあり、次第に見慣れた存在になっていった。そのせいもあり、京都市内で両方の耳たぶがある彼に出くわした時は、うっかりそのまま通り過ぎてしまうところであった。下の写真が、両耳たぶがある人の写真である。
右の耳たぶの他にも、左手の先が見えていたり、保護帽を持つ右手に少々リアルさ(?)が加わったり、服の襟が鋭角的な感じになったりと、修正というか進化をしているようである。保護帽は、さらに扁平になった感がある。
多分「何故右の耳が無いのか?」ということは、2010年代後半の何処かの時点で、作り手の方で少々問題になったのではないかと思われる。その修正の際に、両手や服の襟などにも小修正を加えたのではなかろうか。(彼は、特定の工務店の専属ではないと思われる)
ところで両方の耳たぶがある彼を撮影したのは、主に関西地方に多大な被害をもたらした、平成30年台風21号がやってくる直前のことであった。あの台風では、関空の連絡橋にタンカーが衝突したり、京都駅ビルのガラスが壊れてけが人が出たりと、各地で少なくない被害が出た。
下の写真は、京都市左京区某所の、台風21号の暴風で倒れかかった木である。
絶妙なバランスを保ってこの状態で留まっているのか、あるいは線の張り方が極めて強固なのか、明らかに枝が少なくない荷重をかけているものの、切断までは至っていない。この木はしばらくこのまま捨て置かれていたが、二週間くらい経った頃に、ようやく取り払われた。(実はこの木の下を通って毎日通勤していた……下をくぐる瞬間はやはり多少の恐怖は感じざるを得なかった)
下の写真は、その近所の神社の、完全に倒れた木である。
特に何も無い所だったので、木が倒れて何か被害が出たわけではなかったのは、幸いであった。
あの台風は、今思い出しても相当凄いものであった。当時住んでいた物件には雨戸が無かったので、あの暴風雨には「これはもしかして本当にマズいか??」と、かなり不安になったものである。