オジギビト集会所本部長室R

路上観察サイト「オジギビト集会所」本部長のブログ

【オジギビト】働かないウサギたち

 先日、現場の掲示の中の、ナースウサギについて紹介した。

ojigibito.hatenablog.com

 これまで出会った労働動物衆の中では、ウサギはどうも真面目に仕事をしていない感があったと、この記事では述べた。しかし果たして本当にそうなのか、今一度確認してみたところ、やはりウサギたちはあまり勤勉に……というより全然働いていなかった他の動物たちは大抵、何かしているのに……。

 今回はそれら、「働かないウサギたち」をピックアップしてみたい。まずは1998年、つくば市で遭遇した例を。

茨城県つくば市天王台の微笑みウサギ(1998年3月)

 写真がややボケ気味であるが、銀塩写真プリントのスキャンということで何とぞお許し戴きたい。まあ、このウサギに関しては、本来この場に立つべき、通常型の直立不動オジギビトの代役を果たしていると言える。ただ、「オジギ」という最低限度の陳謝的動作はしておらず、通行者に向けて微笑むのみなので、それを「労働」と言うべきかどうかはやや疑問である。
 次は、大分市の例を。

大分県大分市田ノ浦の遊びウサギ(1999年1月/関東支部長報告)

 拡大した写真の方で分かるように、このウサギは、西日本では特によく知られた労働動物集団「安全はみんなの願い」団の一員である(ちなみにこの集団には人間のオジギビトも属している)。他の団員の動物たちは大抵何かの労働をしているのだが、このウサギだけは明らかに、遊んでいる(しかしサルに関しては、ウサギ同様にさぼり疑惑あり)。雲の間に掛かった虹状構造物を滑り台のようにして遊んでいる模様である。
 そしてこちらは、また違ったウサギ。

沖縄県中頭郡中城村南上原のニンジン喰いウサギ(2005年9月)

 同じく「安全はみんなの願い」団の一員だが、先のウサギとは明らかに異なる個体である。一応、作業着らしき服装なのだが、ただ立っているだけである。しかもニンジンを囓りながら……。オジギ姿勢でもなく、自分だけ好きなモノ喰ってサボっているようにしか見えない。
 もはやその行動の意図するところが分からなくなっているのが、次の例である。

鳥取県三朝町山田の飛翔ウサギ(2003年12月)

 マントとベルトを着けたウサギが、水平にジャンプというか、空を飛ぶ姿勢を取っている。この看板自体は結構綺麗にまとまっているので、個人的には結構好きな方なのだが、「またウサギの奴は遊んでいるのか……」と思わざるを得ない点が、何とも言えない問題である。
 遊んでいるのはウサギだけなのかと思ったら、意外な相棒がいた例がこちら。

鳥取県倉吉市のウサギとカメ(2007年2月)

 誰もが知るあの「ウサギとカメ」のお話に倣って、連れだって歩いている様子である。ただやはり、歩行速度の違いがありすぎるせいか、ウサギの方はどうも無理な姿勢を取っているような気も少々。
 この例を見て改めて気付いたのだが、実はカメにも、あまり働いているようには見えない例があった。しかもそれは、あの「安全はみんなの願い」団の中にいた。

沖縄県中頭郡中城村南上原の歩くカメたち(2005年9月)

 道の上を歩く、二匹のカメたち。別に道路をならすとかではなく、ただ歩いているようである。もしかするとこれらのカメたちは、労働動物ではなく、工事によって通りやすくなった道の上を歩く、通行人ということなのかもしれない。だとすると納得がいく。

 現場看板におけるウサギは、大抵遊んでいるという疑いが、今回の再検証でますます濃厚となった。一応目的があって「待機状態」的な感じなのは、先の記事のナースウサギということになるだろうか。今後、現場で汗水垂らして働くウサギに出会えるかどうか、引き続き注視していきたいものである。